モンスターペアレントの母親やクレーマー増加の心理的な原因 | コップのお話
 

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モンスターペアレントの母親やクレーマー増加の心理的な原因

Glass Story

 

モンスターペアレント、クレーマーの増加

昨今、モンスターペアレントやクレーマーが増加傾向にあることが社会問題になっている。

たとえば、幼稚園の演劇で主役を与えられなかった子供の親が、感情的にクレームをつけるため、主役だらけの劇になる、という話がある。

また、執拗なモンスターペアレントの口撃に、保育所の所長が自殺に追い込まれた、という事件さえ起こっている。

埼玉県の保育所にて、2001年11月に園児同士のケンカがあった。このとき軽い引っかき傷を負った園児の保護者が激怒した。

女性所長に苦情を繰り返し、自分の子どもに対するつきっきり保育を要求。約20日間にわたるつきっきり保育では「日陰で遊ばすように」などの細かい指示が加わり、所長は神経をすり減らしていった。

出典 : モンスターペアレント事例集

テレビの世界でも、不倫の発覚したタレントが出演を続けているとクレーマーの電話が酷いと言う。

放送局はスポンサー離れを憂慮し、クレームを受けたタレントの降板や出演見送りを決めざるをえない、という事情もある。

 

 

‘ モンスター ’ 増加の原因

それでは、一体なぜこうしたモンスターペアレントやクレーマーが、今、これほど増加しているのだろうか。

そこには、このモンスターペアレントとクレーマーの両者に共通する、一つの心理的な原因(心理的なメカニズム)がある。

その原因(メカニズム)に関して、「モンスターペアレント」を例に、僕なりの考えを交えて解説したいと思う。

本質的な心理メカニズムは、モンスターペアレントもクレーマーも違いはないので、これから書くことは、‘クレーマー’ 全般に当てはめることができるだろう。

 

 

一体化した母親

僕は、母親から様々な形の「虐待」を受けてきた数人の女性を知っている。

そして、この虐待をしてきた母親たちに共通する点として、何かしらの原因、きっかけによって、自分自身の人生に充足していない(できなかった)、ということが挙げられる。

こうした充足感のない人生を送ってきた母親たちは、我が子に、「二つのうちのどちらか」を求める。

それは、「絶対に幸せになってほしくない」か、「絶対に幸せになってほしい」、という一見すると真逆の二つである。

前者の、「絶対に幸せになってほしくない」というのは、母親が、我が子、特に娘と自分を重ねて考えるからである。

どこかで、自分の不幸な人生と娘の人生を比較し、嫉妬や後悔も混ざり合って、我が子の幸せを破壊しようとする心理状態が働くのである。

一方、普通に考えれば、「絶対に幸せになってほしい」という後者の ‘ 願い ’ は、まっとうなことのように思えるかもしれない。我が子の幸せを願うのは、親として当然じゃないか、と。

しかし、大事なポイントとして、そもそもの「前提」が違うのである。

この「虐待」する母親の場合は、〈私のため〉に、我が子に「絶対に幸せになってほしい」のである。

‘ モンスター ’ は叫ぶ。

もし、
あなたが〈幸せ〉にならなかったら、
私の、
この報われない空っぽな人生の意味が、
唯の一つもなくなってしまうでしょ!

私の人生の ‘ 意味 ’ を傷つけないで。
私の人生の ‘ 意味 ’ を軽んじないで。
お願いだから、‘ 主役 ’ にして!

人生の空虚さを埋める存在としての我が子に対する、こうした飽くなき欲望(願い、ではなく)と、そして心理的な防御反応が原因となって、彼女は「クレーマー」になるのである。

そして、ときに〈我が子=自分自身〉の〈幸せ〉を阻害しようとする相手を、全否定しようとさえするのだ。

世界から追いだし、自殺に追い込むくらいに、執拗なほどに。

 

 

疲弊した心

また、そうしたモンスターペアレント(クレーマー)となる母親たちの心は、充足していないだけでなく、あるいは、それゆえに、すっかり疲弊し、追いつめられていることが多い。

この〈疲弊〉という点も、忘れてはいけない大切なポイントである。

心は、追いつめられて張り詰めているとき、‘ 最後の一押し ’ を食うと、まるで押しつぶされたチューブのように、細い一つの穴から一つの標的を目掛けて、溜まった感情を吐きだす、という習性がある。

その相手は、身近な娘かもしれないし、恋人かもしれない。

教師や企業かもしれないし、ネット上での誰かのつぶやきや、不倫や失態を犯した芸能人かもしれない。

その都度、近くの捌け口を探しては、心が激しく嘔吐する。

そして、そのとき、その瞬間の感情は、「たった一つだけが〈悪〉で、その〈悪〉を殲滅すれば〈平和〉が訪れる」という単純で分かりやすい価値観に支配されている(当人は、それを愛や正義だと確信している。「‘ 間違える ’ ほうが悪いんじゃないか」と)。

 

 

悲しきモンスター

ここで、もっとも重要なポイントは、それが〈嘔吐〉である、という点にある。

幼い頃から、喉元に次々押し込まれるように様々な〈悪〉を詰め込まれてきたことが原因となって、受動的に、彼女たちは〈嘔吐〉という症状に襲われるのである。

モンスターペアレントやクレーマーは、決して能動的に〈悪〉を生み出しているわけではない。彼女たち自身が、〈悪〉ではないのである。

これは、‘ モンスター ’ を叩けば解決するような、単純な問題ではないのだ。

もし、彼女たちこそが、つまり、「たった一つだけが〈悪〉で、その〈悪〉を殲滅すれば〈平和〉が訪れる」とあなたが執拗に考えようとすることから逃れられないようなら、注意が必要だろう。

すでに、その悲しき ‘ モンスター ’ は、あなたの背後にいるのかもしれない。

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2016-03-30 | Posted in こころ