夢の話 〜 鏡のなかで首が切れる | コップのお話 〜体と心と自然の物語〜
 

夢の記録

夢の話 〜 鏡のなかで首が切れる

 
Glass Story

実家の台所で僕はナイフを持った男と取っ組み合いになっていた。男の顔はよく見えない。

僕は男から体を離すと、体勢を立て直した。無傷だった。

顔を上げると、僕の目の前には、白や赤など色とりどりの服を着た、知らない多くの男女が立っていた。彼らは、少し離れた位置から僕のことをじっと凝視している。

そして、僕を見ながら、手で口を覆って息を飲んだり、「あ、ああ…」と、まるで建物や橋が倒壊していく瞬間に遭遇したときのような声を漏らした。

嫌な予感がして思わず僕は振り返った。背後にはスタジオのような大きな鏡があった。その鏡に映し出された僕の首に、切れ込みが入っていた。

ゆっくりと首の右端から裂けていき、徐々に裂け目は深くなっていった。

血が溢れるように流れ出る(鮮やかな血の色だけが、やけに鮮明に映っていた)。

僕は鏡から視線を逸らし、自分の首もとに視線を移すと、首には傷一つなく、繋がったままだった。

安堵して、再び鏡を見ると、さっきよりも裂け目は進行していた。もう半分以上が千切れかかっていた。


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鏡に映る姿と、実際の首と、僕は交互に視線を行き来させた。

その都度、不安と安堵の想いが胸のあたりで激しく綱引きをするように軋んだ。

僕は、直感的に悟った。僕の首が裂けて体と分離することが、不安と安堵という二つの精神状態に引き裂かれそうになっていることとシンクロしているのだ、と。

 

僕が目を覚ましたのは、その瞬間だった。

外はまだ暗く、強風が吹きすさんでいた。カランコロンと何かが転がっていく音だけが響いていた。

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2016-04-18 | Posted in 夢の記録