糖質制限、炭水化物抜きの食事 - ある過敏性腸症候群の治療にまつわる体験談 | コップのお話 〜コップの水が溢れるように〜
 

からだと自然

糖質制限、炭水化物抜きの食事 - ある過敏性腸症候群の治療にまつわる体験談

 
Glass Story

縦棒  過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群は、積み重なるストレスによって腸が過敏に働いて下痢や腹部膨満感が生じたり、反対に便秘がひどくなるといった機能性の症状です。

精神的な負担が、胃腸のような消化器系に影響を及ぼすことは、体験、体感的に理解できるのではないでしょうか。

また、同時に、最近では腸の不調がうつ病など精神面に影響を与えることも分かってきています。そのため腸はセカンドブレイン(第二の脳)とも言います。

 

過敏性腸症候群の治療の難しさも、この心身の相互関係にあります。

たとえば、仕事場や学校に向かう途中、あるいは大事な会議の前など、緊張でストレスを感じると、その負荷が自律神経を乱し、腸の調子を崩します。

こういう体験が重なると、「予期不安」と言って、あらかじめ失敗を予期し、「また途中でお腹が痛くなったらどうしよう」などと考えて余計にストレスが掛かる。

そして、その不安感によって腹痛に見舞われる、という悪循環に陥っていく。

 

現代病として、この過敏性腸症候群が増加している理由の一つも、腸と精神、この両者の関係が複雑に絡み合っています。

子供の頃からの過食や早食い、ジャンクフードや膨大な量、種類の添加物といった、歴史上かつてない食の乱れによって腸内環境は劣悪なものになっていく。

また精神面でも、社会環境やぎすぎすした人間関係、不透明な未来のために、ぎゅっと縮こまって、固く、神経質に傷つきやすくなっている。

この二つが両輪となって、症状の悪化を加速させていくのです。

 

 

縦棒  過敏性腸症候群の治療と精神

そこで、この腸と精神面の両方からのケアが、過敏性腸症候群の治療に向けて大切になってきます。

病院では、治療の一環として薬物療法を推奨することが多いと思います。腸の痙攣を抑える薬や、精神面の不安定さを抑える抗不安薬、ないしは抗うつ薬のように。

しかし、もう少し視点を引いて考えてみて下さい。

この湖面が小々波だっているような腸の乱れや精神面を、もう一度静かな状態に取り戻すためには、もっと根本的な対策が必要になります。

それは例えば「食事を見直す」ということであったり、深呼吸や瞑想、ヨガなどで精神面を落ち着ける習慣を身につけることであると言えるでしょう。

心の状態は湖の水面にたとえることができる。

風が強く、湖面が波立つと、
月は月としてその姿を現さず、
鳥は鳥としてその姿を現しません。

湖面の波が
無限小に静まり鏡のようになると、
月は月としてその姿を映し、鳥は鳥としてその姿を映します。

『心を静める』藤平信一著

 

 

縦棒  過敏性腸症候群の治療と食事

また、食事面については、可能であれば、定期的に、断食や野菜スープだけの日を設けることをお勧めします。

断食は、言い換えれば身体の瞑想です。胃や腸など消化器系を一度静かに休ませる。

仕事でも学校の授業でも、色々なことを頭に詰め込んで、放り込まれて、頭がいっぱいっぱいになることがあると思います。そういうときは、いったん静かな環境に身を置き、「インプット」をやめる。

過敏性腸症候群の治療においても、同じようなケアが必要になってくるでしょう。

 

日々の食事で個別に気をつけることとしては、油物を避けてみて下さい。

油物(今は色んな食材に油脂が含まれているので、丁寧に除去食を)を食べた翌朝は、症状が悪化することがあります。

あるいは、流行りの「糖質制限、炭水化物抜き」も効果的です。

ある体験談として、MEC(糖質制限)で長年悩んできた過敏性腸炎の症状が消えてしまった。というブログの記事もあります。

また、炭水化物抜きも含めた食事や運動、瞑想などに関する科学的な視点を、米国の医者とジャーナリストが共著でまとめた * 『野生の体を取り戻せ!』という本があります。

*タイトルは物々しいですが、先住民のライフスタイルなど民俗学的な視点も豊富で、想像以上に面白い本でした。もし細かい話が苦手という場合は、二人の体験談を記した最後の章だけでも読んでみると、短い小説を読んでいるように治療のための日々の生活が理解できます。

 

最後に、この日本版のあとがきで、日本の編集者が、自身の過敏性腸症候群が完治したときのことに軽く触れているので引用したいと思います。

過敏性腸症候群で藁をもすがる想いという方も多いと思うので、よかったら、ぜひ参考にしてみて下さい。

僕も以前から糖質制限ダイエットの類いは聞いたことがあったけれど、一つの栄養素を丸々カットする食事法には抵抗があった。でもこの野生のロジックにはすっと頭に(そして体に)入ってきた。それ以来かれこれ一年ほど、僕は低炭水化物をゆるく続けている。

体調はすこぶる快調で、夜はぐっすりと眠れ、ランチの後も眠くならない。いつからだったか思い出せないほどずっとデフォルトで過敏性腸症候群の類いを抱え、体質か日々のストレスのせいだろうとあきらめていたけれど、それが嘘のように治った。

『野生の体を取り戻せ!』ジョン・レイティ&リチャード・マニング著、野中香方子訳

1+
2016-07-30 | Posted in からだと自然