家と考える未来 - モダニズム建築と住宅ローンの誕生 | コップのお話
 

文学と芸術

家と考える未来 - モダニズム建築と住宅ローンの誕生

 
Glass Story

縦棒  モダニズム建築

20世紀、建築の世界ではモダニズムと呼ばれる建築スタイルが一世を風靡した。

思想や芸術の世界で使われる「モダン」「近代」という言葉は、西洋中世の「神」が世界をつかさどる時代を経て、「人間」が合理的な理性によって解釈、支配するようになった時代や価値観を意味する。

このモダニズム建築もまた、合理性というのが鍵となる。

 

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ル・コルビジュエのサヴォア邸

 

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近代芸術の育成を志したドイツのバウハウス

 

モダニズムとは要するに、コンクリート、鉄、ガラスを使った、機能的で透明感のある工業化社会の制服のような建築様式のことです。

『建築家、走る』隈研吾著

 

 

縦棒  モダニズム建築の流行と住宅ローンの誕生

このモダニズム建築、生まれたのはヨーロッパだったのだが、爆発的に広がっていったのは第一次大戦後のアメリカだった。

国民の住宅不足に悩んだアメリカは、一つの「物語」を提示する。

それは、都市の外側の手つかずの地に家を建て、郊外で自家用車を使って生活するスタイルだ。

そして、そのときポイントになったのが、車を動かすエネルギーである石油と「住宅ローン」という発明だった。

その後、関東大震災や太平洋戦争によって焼け野原になった日本にも、この表情のない無機質なモダニズム建築と、「持ち家信仰」とも呼ぶべき生活スタイルが、次々と輸入されていった。

郊外の地を切り開き、住宅ローンで家を持ち、ガソリンを使って自家用車で通う。

*さらに各々の家族が家電製品や家具などを買い求める「大衆消費社会」が勃興していく。1920代にアメリカで謳われた合言葉は「buy now, pay later(今買え、あとで払え)。


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縦棒  住宅ローンとサラリーマンの誕生

建築家の隈研吾さん曰く、この「持ち家信仰」によって醸成された気運の一つが、「サラリーマン」的なメンタリティと専業主婦だった。

住宅ローンは、サラリーマンを一生縛る。途中一度のミスも許されず、立ち止まったらローンの支払いが滞る。

その結果、「変化を恐れる」「リスクを恐れる」というサラリーマン的メンタリティが政官財あらゆる場所に深く染み渡るように蔓延していく。

その一方で、専業主婦は、その「持ち家」に縛られる。

隈研吾さんは、モダニズム建築に対してずっと批判的な想いを抱いてきたと言う。

「私の家」をめぐる幻想は、住宅ローンによって一生を会社にしばられるサラリーマンと、家に閉じ込められた専業主婦を生み出しました。

ぼくの20世紀批判も、コンクリートのモダニズム建築批判も、すべての始まりはぼくの母親の姿にあります。家で一人寂しくしていた母親です。

『建築家、走る』隈研吾著

一言で「家」と言っても、建物の材質や形態だけでなく、「家」の在り方そのものが、個々人の夢や人生、交渉内容や街の風景、エネルギー問題や自然、その箱のなかで息するコミュニティの形など、様々な場所に波及していくものなのだ。

 

 

縦棒  HOUSE VISION

HOUSE VISION

日本の都市、特に東京は、江戸時代から最大人口を持つメトロポリス。ここで営まれてきた暮らしは、経済成長の峠を超えた今日も、そして未来も資源にあふれ、可能性に満ちています。

ここに私たちは、未来資源をさがさなくてはなりません。

まずは「家」です。明治以来、近代化、つまり西洋化に向けて走り続けてきた日本は、マネーだけでは幸せがつかめないことを学びました。日本の伝統や価値についての自覚も芽生えています。そんな21世紀の日本という土壌に、どんな木を植え、どんな果実を収穫するか。

出典 : HOUSE VISION.jp

 

小さな建築 (岩波新書)

小さな建築 / 隈研吾

 

HOUSE VISION 2 CO-DIVIDUAL 分かれてつながる/離れてあつまる

HOUSE VISION 2 CO-DIVIDUAL 分かれてつながる/離れてあつまる / 原研哉

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2016-08-01 | Posted in 文学と芸術