夢の話 〜 追われる夢 | コップのお話
 

夢の記録

夢の話 〜 追われる夢

 
Glass Story

デパートの5Fフロアの隅にある休憩室のような空間で、先端の長く尖ったハサミを突きつけられながら、「どちらかを殺せ」と脅迫を受ける。

知らない連中ばかりだった。

僕は、その選択を拒み、隙を伺い、その場所から逃げ出すことに成功した。エスカレーターを駆け下り、街に出て、雑居ビルや古い民家の隙間をかいくぐったり塀や屋根をよじ登って逃げた。追手は三人だった。

ブロック塀を越えた向こうに、ごみ箱があった。

ごみ箱には若いカップルが詰め込まれていた。虚ろな眼差しで空を見つめる少女の瞳と目があった。死んでいるのだと直感的に悟った。

そうなんだ、都会にはこういうことは「よくあること」なんだ、と僕は思いながら、民家の屋根づたいに逃げ、落ち葉の敷き詰められた公園まで走っていった。

公園には、小さなトンネルがあって、僕はそのトンネルにもぐった。風がなく、温もりがあった。もう大丈夫だろう、とほんの少し安堵した。

でも、すぐに追手も入ってきた(すでにそこにいた、と言ったほうがいいかもしれない)。

僕はトンネルの反対側から抜け出し、フェンスを越える。追手の数は増えているようだった。薄白い顔で、明確な意思もなく、ただ「追いかける」ということを宿命づけられた亡霊かゾンビのように思えた。

目の前には高い高いコンクリートの壁が立ちはだかって、公園の外には出られないようになっていた。

僕は指先の皮膚を器用に使って、吸盤のように表面にひっつきながら、ビルに比肩するようなその壁をよじ登っていった。

登りながら僕は、「こんな風になってしまった僕を、旧友たちは受け入れてくれるだろうか」と悲しく思った。

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2016-10-10 | Posted in 夢の記録