窓の外 | コップのお話
 

ぼんやりとおもうこと

窓の外

 
Glass Story

ゆっくりと、教室や社会の片すみに、そして世界の片すみに追いやられていった者から順に、無機質な部屋にこもってインターネットの世界に没入する。

SNSでは、好き好きの仮面をかぶって交流する。

ちょっとでも傷ついたら自由に関係を断絶し、アカウントを疑似自殺的に削除し、また新しい生命と仮面を得る。その世界に「時間」という概念はない。「時間」は、縦のスクロールによって演出されたフィクションに過ぎないのだ。

ヴァーチャルの時間が流れる。ヴァーチャルの異性と恋愛する(現実の異性とヴァーチャルな恋愛をする)。

ふと鏡を覗くと、記憶のなかの自分と違う顔つきが、そこにある。数字を眺めると、年齢だけが加算されていく。

窓(ウインドウ)の外に出ることは、もうできない。

これは「ひきこもり」の話ではなく、近代という世界そのものの話である。「ゲームばかりしていると現実と空想の区別がつかなくなるわよ」と叱る、教育ママの話である。

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2016-12-01 | Posted in ぼんやりとおもうこと