夢の話 〜 父と詩集 | コップのお話 〜コップの水が溢れるように〜
 

夢の記録

夢の話 〜 父と詩集

Glass Story

エスカレーターを降りて駅に向かう途中で、昔の同級生に見つかった。興奮した口調で、「裏切り者だ!」「裏切り者だ!」と肩を叩く。

そして、彼は、「Sさんにも知らせよう」と言って、離れた場所にいるSのもとに駆けていった。

僕は惨めな気持ちと不安でいっぱいになって、慌ててエスカレーターを駆け上って逃げた。

家に戻ると、そこは見たこともない二階建ての西洋風の屋敷のようだった。

薄ぼんやりとした灯りと、横に長い階段があった。僕は階段の上に立っていた。すると、一つの影が、ゆっくりと上ってきた。父だった。

父は足取りが重く、顔は青ざめていた。

僕は「大丈夫?」と声をかけ、背中をさすった。「ちょっと疲れちゃってね」と父は言った。そして、父は自分の部屋に戻りながら、「あの本だけど」と申し訳なさそうに言った。「最後まで読めそうにないんだ」

はっと思い当たるふしがあって、僕は父よりも早く父の部屋に入って、布団の上に置いてあった古く分厚い哲学書をつかんだ。今度は僕が申し訳なくなって、「いいんだよ、当然だよ」と言った。それは僕自身が読んでいないものだった。

そして、僕は、「そうだ」と言って隣にある自分の部屋に向かった。「今僕は詩集を読んでるんだ。弱っているときには詩集がいいよ」。

振り返ると、そこにはもう父の姿はなかった。

真っ暗な部屋と、開け放たれた扉から、階段の優しい灯りが伸びてくるばかりだった。

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2017-02-01 | Posted in 夢の記録