影を殺してはいけません。 | コップのお話 〜コップの水が溢れるように〜
 

詩、雑文

影を殺してはいけません。

Glass Story

影を殺してはいけません。

影を殺してはいけません。

 

教室の比喩。

少女Aに、ある男の子が舌打ちをする。別の男の子も舌打ちをする。後ろの席の女の子も舌打ちをする。だれもが溢れ出す想いを家から持ち寄って少女に吐きつける。

「舌打ちと死の因果関係は立証できませんね」

鳴り響く舌打ちに、Aはちょっとずつ崖の際に追い詰められていく。

心の蝕まれていったAは、冷たい瞳で隣の席の少年Bを殺した。

Aの裁判が教室で開かれた。情状酌量の余地なく少女は死刑になった。教室のだれもが泣き叫び、怒り狂った。

次の日からAはいなくなった。

しばらくのあいだ、歓喜の渦が教室内を覆った。よかった、よかった。これで平和がおとずれる。

そして、ひと段落し、静まり返った一週間後の昼休みのこと。

ほんの少し大きな舌打ちが、Cの耳元で響いた。

 

影を殺してはいけません。

影を殺してはいけません。

光あれと神は言った。その光が眩しくて、内側に伸びていった影を、影こそ悪だと殺してはいけません。

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2017-02-18 | Posted in 詩、雑文