ヒアリ騒動と、五箇公一氏ら生物学の専門家の冷静な対応 | コップのお話 〜コップの水が溢れるように〜
 

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ヒアリ騒動と、五箇公一氏ら生物学の専門家の冷静な対応

 
Glass Story

 

生物学の専門家

誰が最初の火付け役だったのか分かりませんが、この過剰なヒアリ騒動のなかで逆に印象的だったのが、生物学の専門家の冷静な対応でした。

たとえば、ヒアリを毒餌で殺そうという環境省の方針に「待った」をかけたのも生物学の専門家。

毒餌を置けば、「在来種のアリも殺すことになってむしろ逆効果になる」というのが、専門家が毒餌に反対する理由でした。

環境省は11日、68港に対し今月中に毒餌を配布する方針を示した。

準備の過程でアリに詳しい専門家らに意見を求め、国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室の五箇公一室長に「毒餌で在来アリも駆除され、ヒアリが入りやすくなる恐れがある」と言われたという。

出展 : 毒餌設置、港を限定へ 環境省が方針転換|毎日新聞

この声で、毒餌の配布は一部に限定し、粘着トラップによる捕獲の方針に変わりました。

ここで名前のあがっている専門家の五箇公一さんについて調べてみると、とても先進的な考え方を持った「生物多様性」が専門の昆虫学者でした。

芸術や音楽などカルチャーが専門の情報サイト「CINRA」のインタビューで、五箇公一さんは文明と自然のあり方や、人間と他の生き物たちとの共生、地方の形などについても語っています。

過疎化が進んで地方社会が崩壊する一方、大規模店舗が地方にドスンと移っていって、地方の経済を全部画一化して回そうとするから、地方が持っていた個性が失われてしまう。

そういうものを1度見直し、地方ごとの独自の社会システムを作って、産業の育成、雇用人口増加のための若い人の住宅整備といった、ローカリゼーションも必要になってくる。

そうやって人が集まれば必然的に自然環境の維持もできるようになって、里山といったものを守ることができる。

出典  :  もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー|CINRA

グローバリゼーションや文明の功罪など、「原因」に対するより大きな視点を持っているからこそ、この毒餌への「待った」がかけられたのかもしれません。

 

この件以外にも、先日発覚した「世界中でヒアリの死亡例が確認できなかった」という話。

これも、「専門家」の指摘によって分かったことでした。

ヒアリの毒性について環境省は、アメリカ農務省の報告などに基づいて「アメリカで年間100人程度の死亡例もある」などとしてきたが、専門家からの指摘で死亡例が確認されていないことが分かったという。

死亡例は台湾や中国でも確認されておらず、環境省は該当する表現をホームページなどから削除した。

出典  :  ヒアリ「死亡例」確認できず環境省が表現削除 専門家からの指摘を受けて判明した|東洋経済ONLINE

環境省やメディアが騒ぎ、殺虫剤メーカーの株価も高騰し、ちょっと異常なほど恐怖心の煽られた状態で、「専門家」が、どの企業の利益も代弁しない、中立で冷静な意見表明を行っていた。

このヒアリ騒動と専門家の対応を見て、そんな風に思いました。

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2017-07-19 | Posted in からだと自然