食とアート、食と芸術。発酵、不食、種、生命とは? おすすめの本、雑誌『美術手帖』特集「新しい食」より | コップのお話
 

文学と芸術

食とアート、食と芸術。発酵、不食、種、生命とは? おすすめの本、雑誌『美術手帖』特集「新しい食」より

Glass Story

 

雑誌『美術手帖』、食とアート

食とアート、食と芸術というのは、これまで直接関連づけて考えられることはほとんどありませんでした。

しかし、一言で「食」と言っても、その「食」の過程には、様々な深い「芸術美」があります。

たとえば、「循環」、野菜の種を撒き、芽吹き、収穫すること。あるいは味噌や酒に代表されるような「発酵」というのも、美しい神秘的な現象です。伝統的な食事(「一汁一菜」)はもちろん、碗を使い、箸を横に並べて置くといった食事をする作法にも、その土地土地で育まれた思想が眠っています。

長田弘さんは「イワシについて」という詩の一節で次のように書いています。

 

けれども、イワシのことをかんがえると
いつもおもいだすのは一つの言葉。
おかしなことに、思想という言葉。
思想というとおおげさなようだけれども、

ぼくは思想は暮らしのわざだとおもう。
イワシはおおげさな魚じゃないけれども、
日々にイワシの食べかたをつくってきたのは
どうしてどうしてたいした思想だ。

長田弘「イワシについて」より

 

また、あえて食事をしない、「不食」というのも、ひとつの思想の体現、身体からの自由を表現したアートととらえることもできるでしょう。

 

このように、「食」という言葉のなかには、幾層にも渡って思想が眠り、生命や文化が息吹き、そしてアートがあります。

この「食とアート」「食と芸術」を主題とし、雑誌『美術手帖』が「新しい食」という特集を2017年10月号で組んでいます。

発酵デザイナーの小倉ヒラクさんや、和食の「一汁一菜」を提唱する土井善晴さん、固定種、在来種という種の専門家で、種苗の販売も扱う野口種苗を運営する野口勲さん、不食の実践家で弁護士でもある秋山佳胤さん、その他養蜂や狩猟といった様々な切り口で、従来の常識や多数派からは一線を画した「アーティスト」が多数登場します。

料理の美しさや新しい食事のスタイルを表現する芸術家も紹介されます。

食文化や歴史、生命にまつわるおすすめの本や映画も掲載されているので、もし「食とアート」に興味があったり「食」について考えを深めたいという際には、この『美術手帖』はきっと良い指南書になるでしょう。

 

美術手帖2017年10月号

美術手帖2017年10月号 / 美術手帖編集部

 

一汁一菜でよいという提案

一汁一菜でよいという提案 / 土井善晴

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2017-10-13 | Posted in 文学と芸術