精神病と芸術家 | コップのお話 〜体と心と自然の物語〜
 

文学と芸術

精神病と芸術家

 
Glass Story

精神病と芸術家

医者、特に近代以降の西洋医学は、精神医学であれ、その他の内科、外科であれ、外側からの客観的な視点については知っていますが、実質的な「内部」は知りません。

知っているのは、「患者」自身です。

正確には、患者の「心身」が「知っていること」について患者の「知識」は知りません。言語化できない、内的状態について感覚的に「知っている」ということです。

精神病に限って言えば、その内的動乱を辛うじて乗りこなし、美しく表現することができる者を、「芸術家」と言います。しかし、「表現」が、たとえ混乱し、伝わる表現になっていなかったとしても(過剰な潔癖症や拒食症など)、「知っている」ことには変わりありません。

これは身体的疾患についても同様のことが言えます。

身体は、統計や画像ではなく、寿命もまた、他者が客観分析的に弾き出すもの(一つの参考にはなるでしょうが)ではありません。一方で、自分自身の体内というのは、自分のおおよその寿命を知っているのです。

我々が耳を傾けるべき声は、内部から響いているのです。

そして、その響きを外部にうつくしく連動させ、表現に昇華させるのが、芸術家なのです。

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2018-01-25 | Posted in 文学と芸術