こころ
僕の考える、ポジティブの意味と、ポジティブになれない理由

Glass Story
世界が光だけになってしまったら、
そんな世界は、もはや見えなくなるでしょう。
ミヒャエル・エンデ
ネガティブとポジティブの溝
世の中では、「ネガティブ思考は悪」で「ポジティブ思考は善」、という考え方が浸透し、根暗と根明は、互いに嫉妬や軽蔑の眼差しを交錯させながら、その溝はますます深いものになっていってはいないでしょうか。
ネガティブ ─── ポジティブな人間は馬鹿だ、鈍感で深みがない。相談もできないし、見ているだけで不快だ。でも、「リア充」な日々が羨ましい。
ポジティブ ─── ネガティブな人間と一緒にいると、一緒になって気分が滅入る。優柔不断で、不満や涙ばかりこぼす。でも、ときどき見せる「繊細」な感性が羨ましい。
こうした「対立」に対し、一度立ち止まって、「ポジティブ」ということの意味を整理しながら、解きほぐしながら、僕の考える「第三の道」を述べてみたいと思います。
ポジティブの意味
辞書に即して「ポジティブ」の意味を説明するなら、「積極的」といったものになるでしょう(「ネガティブ」は対義語で「消極的」です)
そのため、「ポジティブに考える」というと、まるで考える〈内容〉が積極的で、前のめりな、目映いばかりの光に充ち満ちたものとイメージし、まぶたが重くネガティブなときに、誰かから「ポジティブに考えろ」などと言われると、いっそう心を閉ざしてしまうかもしれません。
しかし(そこで)、僕は、この「ポジティブ」の意味を、「積極的」というよりも「肯定的」と捉えたいと思うのです。
もしかしたら「同じようなものじゃないか」と思われるかもしれません。
ものごとを「積極的」に考える。
ものごとを「肯定的」に考える。
実は、この「肯定的」という言葉の意味も、一筋縄ではいかないややこしさを孕んでいるので、もう少しだけ、言葉の話にお付き合い下さい。
僕たちは、「私は、あなたの意見を肯定する」と言います。
このとき「肯定」は、その意見の〈内容〉に掛かって「賛成」の意味を表すこともあれば、その意見の〈存在〉に掛かって、意見そのものの存在は肯定するが、内容には「反対」する、という意味合いの場合もあります。
もう少しわかりやすく言うと、たとえば、「私は、あなたを否定する」という言葉の意味について考えてみて下さい。
そこには、あなたの〈存在〉そのものを否定する、要するに、「今すぐ消えな」と銃を突き付けるハリウッド映画のワンシーンのような意味と、あなたの〈存在〉ではなく〈内容〉─── 口癖だったり、日常の行動だったり、仕事のミスだったり ─── を否定する意味があることが分かると思います。
肯定的(否定的)という言葉は、このように二つの意味が複雑に絡み合っているのです。
ポジティブに考えることが大事だ、と僕が思う理由
僕は、他人に対しても、あるいは僕自身に向けても、「もっと、ものごとをポジティブに考えられたらいいのに」と思うことがあります。
先ほども書いたように、僕は、このポジティブを「肯定的」という意味で捉えます。
そして、このとき、肯定的という形容詞は、ものごと=考える内容に掛かっているのではありません。「もっと、ものごとをポジティブに考えられたらいいのに」とは、「もっと、ものごと=思考の中身を〈光〉で満たせばいいのに」と言っているのではありません。
それは、「喜び」を「喜び」として自覚するということだけでなく、「悲しみ」を「悲しみ」として認めてあげる、ということも含まれるのです。
一般的には、「ネガティブ」な感情と呼ばれるようなものごとも、「ああ、自分はそういう風に考えているんだなあ」「心の底から羨んでいるんだなあ」「悲しんでいるんだなあ」と、ポジティブ=肯定的に考える。
僕が、「ポジティブに考える」ことが大事だと思うのは、こうした理由からなのです。
たぶん、本来が英語であることが示すように、「ポジティブ」と「ネガティブ」は、西洋的な価値観が顕著に現れた言葉だと思います。
くっきりと境界線の引かれた、光と闇。
古来の日本では、今のような「(ただ思考の中身を光で満たせ、と言ったような類いの)ポジティブ」信仰はなかったことでしょう。
満月を眺めながら、去年あの月を一緒に見た妻は、今はもうあの世に逝ってしまった(去年
– こぞ – 見てし 秋の月夜は照らせれど 相見し妹 -いも- は いや年離る – さかる – )とか、桜の散っていく様に、世の中の憂いや悲しみを歌う(世の中に たえて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし)ことを、きっと彼らは「ネガティブ」な感情とは、夢にも思わなかったのではないでしょうか。
僕たちは、境界線の刻み込まれた光と闇ではなく、混じり合った陰と陽を、その都度、「ポジティブになるために歌う」のでもなく、「ネガティブを垂れ流すために歌う」のでもなく、繊細な手つきで、ありのままに、「肯定的」に捉えてきたのです。
悲しいときは、「ああ、悲しいんだなあ」と思いながら。
それでもポジティブになれないときには
そんなことを言っても、それでも「ポジティブ」になれない、肯定的になれない、というときもあるかもしれません。
その理由は、たぶん簡単なことだと僕は思います。
心が、疲れきっているんです。考えること、感じることができなくなっている。目の前の全てに拒絶反応が生じたり、すっかり麻痺して思考停止や不感症になっている。
そういうときの対策は、ただ一つ、静かな場所で休むことです。
部屋から出られないようなら、音楽を消して、プラグも抜いて、スマホの電源も落として、布団にくるまって眠っていましょう。
もし外出できるようなら、木々の息吹や鳥のさえずりに溢れた地に一人旅をしてみて下さい。
静けさや温もりに身を置き、ゆっくりと心のこわばりが緩んでいくと、詰まっていたしこりが氷解し、悲しみや後悔、涙がとめどなく流れてくるかもしれません。
胸が締めつけられるように痛みながら、悲しいなあ、ああ、悲しいなあと、心は木霊のように反響を繰り返すでしょう。
僕は、そのありようを、「ポジティブ」と呼びたいのです。
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