文学と芸術
闘争と逃走 ‘口をふさがれたら、尻の穴で歌はうよ。’

Glass Story
闘争と逃走
大学生の頃、名言集みたいなものを読んでいて、強く心に響いた言葉があった。
それは、たとえ手を失っても足で書く、足を失っても口で書く、口をふさがれても尻の穴で書こう、といったような言葉だった。その激しい覚悟に心は揺さぶられ、若い魂は鼓舞された。
どんなことになっても書き続けるぞ、と思った。
これが正確にどういった文言だったか、誰の言葉だったか、その本を友人に貸したまま卒業まで会うことがなかったので、結局それきりで忘れてしまった。
ただ、その言葉のニュアンスだけが、印象深く、記憶に刻み込まれていた。
当時、僕はそれを「覚悟」と読んだ。
その後、体調を崩し、一時、声を出そうにも声がうまく出ない、字を書こうにも右手がうまく使えない、といった状態になった。
しかし、それでも僕は書きたくて仕方がない衝動に駆られ、紙に不安定な文字で「書きたくない」と書き連ね、その紙をぐしゃぐしゃに丸めて捨てた。
そして、そのときふいにその言葉が、あれは覚悟という自発的なものよりも、もしかしたら、そうしなければ生きられない強迫観念を謳ったものではなかったのか、と考えるようになった。
なぜ、彼は「黙る」ことができなかったんだろう。
それから幾ばくかの時を経て、先日、ある本に、その一節と思われる一編の詩を見つけた。それは小熊秀雄という詩人の「現実の砥石」という詩だった。
現実の砥石
君よ、早く材木屋に 行つてきてくれ 何しに、 材木を買ひにさ、 それで座敷牢を建てるんだ 誰のために 君が入るためにではない 自由といふ我儘者が入るためにだ
執念ぶかい貧乏と たたかひながら生活してゐると 自由の騎士は気が益々荒くなる、 飯は喰へず いたづらに詩が出来るばかりだ 私の野放図な馬鹿笑ひは 肥えた方々の機嫌を損ずる 現実は砥石さ、 反逆心は研がれるばかりさ、
かゝる社会の かゝる状態に於ける かゝる階級は 総じて長生きをしたがるものだ、 始末にをへない存在は 自由の意志だ、
手を切られたら足で書かうさ 足を切られたら口で書かうさ 口をふさがれたら 尻の穴で歌はうよ。
闘争は、いずれ逃走へと繋がっていく。そういう絶望と悲哀が、この詩からは漂ってくる。
ただ、最後に「書く」のではなく、「歌ふ」と書いているのが、一雫の希望になる。
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