文学と芸術
詩人長田弘の語る、ナショナリズムとパトリオティズムの違いとは

Glass Story
ナショナリズムとパトリオティズム
世界中でナショナリズムの意識が高まっています。
ナショナリズムとは、民族や国家を中心的な共同体とし、個人に忠誠心、愛国心、帰属意識を求める感情や主義のこと。国家主義、民族主義等と呼ばれます。
このナショナリズム(nationalism)と類似した概念として、パトリオティズム(patriotism)という言葉がああります。
パトリオティズムもまた、「愛国心」「愛国主義」と訳されます。しかし、この拠って立つものは、nationではなくcountry。それゆえ、このパトリオティズムの示す「国」は、国家や民族よりも、もう少し身近な、郷土のニュアンスが強いのです。
ここに、ナショナリズムとパトリオティズムの違いがあります。
詩人の長田弘さんは、このパトリオティズムこそが自分の詩の根幹にあるものだと、『長田弘全詩集』の巻末の文章で綴っています。
長田弘さんは、パトリオティズムとは、「愛国心」ではなく、「日常愛」のことだと言います。
パトリオティズムとナショナリズムとは本来、根っこから異なる。パトリオティズムは宏量だが、ナショナリズムは狭量だ。
各々の郷土、風土に根ざした日々の営み、日常を、ナショナリズムは画一化し、決して逃れられないように、決して侵入を許さないように、周囲を城壁で囲う。
しかし、パトリオティズムは違う、と長田さんはハイネの叙事詩を引用しながら訴えます。
パトリオティズムは城壁をつくらない。「共和国として、ハンブルクは、ヴェネツィアやフィレンツェほど大きくなかった。とはいえ、ハンブルクには、ほかよりいい牡蠣がある。ローレンツの地下食堂のがいちばんうまい」『ドイツ冬物語』の一節。
それから幾星霜、大帝国となったドイツは欧州に大戦を起こして敗北、革命は挫折、第三帝国の勃興で再び欧州に大戦を起こして敗北、東西に分裂、冷戦、そして統一。目まぐるしい変化を経験するが、どんな時代が来ようと、ハンブルクにはいい牡蠣があり、人びとはそれを楽しみとしてきたに違いない。
そのような「日常愛」をはぐくむのがパトリオティズムであり、詩だとわたしには思える。
『長田弘全詩集』長田弘著
パトリオティズムは、特定の場所や生活様式の深い愛着の意識であり、私自身はこれがもっとも素晴らしいと思ってはいるが決して他人には強制しない、というもの。
文化とは、硬直したイデオロギーではなく、日々の習慣、自然、死生観に根ざしたもの、「パトリオティズム」だと、長田さんは言います。
長田弘さんは、2015年に胆管癌で亡くなります。75歳でした。
長田さんは亡くなる前日、毎日新聞のインタビューで次のような言葉を残しています。「大切な日常を崩壊させた戦争や災害の後、人は失われた日常に気づきます。平和とは、日常を取り戻すことです。」
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