社会とビジネス
デザイナーベビーと優生思想

Glass Story
デザイナーベビーと優生思想
ある古びた病院に入院したときのこと。期間は一週間で、毎朝、年配の院長さんの問診がありました。
この院長さんは柔軟な考え方の持ち主で、その先生が、ある日の問診の最後に言った言葉が印象的でした。
彼は、独特のしゃがれ声を響かせながら、「人間の健康を疎かにして経済成長を推し進めて、その医療費のために経済成長をもっと、と言うのは本末転倒だと思うんだよなあ」と言いました。
そして、「このままだと、人間は耐えきれないんじゃないだろうか。あるいは、耐えられるものだけが生き残り、進化していくのだろうか」と呟きました。
その言葉を聞いて、僕はふと昔ラジオで紹介されていた一人の科学者の話を思い出しました。
それは、人類は未来の世界では二種類の人種に分けられるだろう、というものです。
一つは、遺伝子を操作し、自由に組み替えた人間(それを「人間」と呼べるかどうか)。そして、もう一つが、自然のままの人間。
昨今、「デザイナー・ベビー」という言葉が話題になっています。
それは、文字通り、精子や卵子の遺伝子情報を予め検査して、選り抜き、先天性の病気を避けるという理由だけでなく、瞳の色や資質など、希望の赤ん坊を「デザイン」していく、というもの。
その技術に関する特許を、Googleの支援する米国企業が取得したそうです。
そもそも、精子バンクで、「より優れた精子」を購入するということ自体は、すでに存在しています。
精子は人気ごとに異なる値段がつけられ、ランキング上位にはスーパーモデル(TV、新聞、雑誌や、ホームページなどで活躍する)モデル、成功を収めた商人、優秀な医者や弁護士や数学者等の専門家、スーパーハッカーなどが名を連ねる。
精子バンクから精子の提供を受けるときに、「少しでも良質な遺伝子を求める」という志向そのものに、果たして問題はないのでしょうか。
たとえば、一人の女性が、日々の出会いの場で、相手の性格だけでなく、役職や将来性、見た目を勘案し、だれと結婚し、子孫を残したいと思うか、ということを吟味するのと同じ類の「選択の自由」があるものなのだろうか。
もしかしたら、「デザイナーベビー」も、その「より良いもの」を探す行為の延長に過ぎない、と言えるかもしれません。
今後、資産家だけが高い費用を払って、ほんの少しでも優秀な赤ん坊をデザインするようになっていく。
優秀な「デザイナーベビー」たちが世界を牛耳り、デザインされなかった子供たちは競争に負け、やがては潰えていく。
優生思想の新たな形。
残念ながら、「文明」というのは本質的に優生思想的な欲望をはらんでいます。
そして、最終的には、人類は、技術の発展と共に、世界中の何もかもを操作し、支配する、唯一の「神」になりたいと目論んでいるのです。
われわれはついに自然を奴隷的に模倣するだけの世界を脱して、すべてを人間が創りあげていく、じつに興味深い世界に入ったわけです。
僕たちは、どこまで欲望を許すべきか、本気で考えなければいけない最後の分水嶺に差しかかっているでしょう。
科学の暴走に、「それで救われる人もいるんだよ」と肯定しようとしているのは、もしかしたら、自分自身の欲望なのかもしれません。
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