体験記
奈良•静養院、自然の豊かさと、断食体験の日々 Ⅰ 〜出発の道中〜

Glass Story
奈良県の生駒山で、長期といっていいだろうか、一週間の断食体験をした。
山の中腹の自然の豊かな環境にかこまれた、大正時代からあると言う古びた校舎のような療養所で、一週間のあいだ水だけの生活を送った。
断食は、その水だけの生活と同じだけの期間をつかって重湯からおかゆという回復食をしていくというスケジュールのものだった。
ここでは、そのときの体験を記憶やメモを手がかりに書き綴っていこうと思う。
朝、10時前に家を出た。どんよりと曇った灰色の空が広がっていた。昨夜までの雨が、ぎりぎりで通り過ぎていってくれたことにほっと一安心した。
電車移動も体力を要するので不安で、乗り換えのひとつひとつを、重く、慎重な足どりで乗り切っていった。
途中、新横浜で下車し、昨夜から何も口に入れていなかったので新横浜駅近くの成城石井でドライフルーツと煎餅を買った。
成城石井から再び駅に戻っていくとき視界に飛び込んできた駅ビルの、のしかかってくるような大きさに心臓がざわざわと揺さぶられるようだった。
正午前の東海道新幹線に乗車。窓際の指定席。最初の30分ほどは気圧の関係か、激しい頭痛に襲われた。
その痛みを睡眠とドライフルーツで誤魔化しながら京都駅に到着するのを待った。
ちなみに、名古屋駅を過ぎたあたりで、スーツを着た水商売風のお兄さんが乗り物酔いに苦しんでいて、青ざめた顔で何度もトイレに駆け込んでいった。その光景が、僕の新幹線のハイライトだった。
久しぶりの関西、久しぶりの京都。懐かしく、こそばゆく、ほんの少しうずく街。
すぐに京都駅から乗り換えて、生駒駅まで向かった。
当然ながら、あちらこちらで関西弁が飛び交っている。近鉄奈良線の車内では、おばちゃんたちがぺちゃくちゃと喋り、大げさなほどの笑い声を上げていた。
日常に飛び交う方言は旅の醍醐味だな、と思う。物語の世界に入り込んで、未知の空気を吸っているような不思議な心地がした。
断食の療養所は、生駒駅からタクシーで7、8分ほどの場所にあった。タクシーで、ひたすら急勾配の坂道を登り続けた。
駅に着いたときは、登り坂を見て、一瞬「歩いて行けるかな」と思ったが、その選択を選ばなかった数分前の自分を褒めたいと、タクシーの後部座席で安堵した。
タクシーのおっちゃんとは、「静養院まで」と告げたときの「ああ、断食道場な」という目的地に関するやりとりをした以外には、道すがら一言も喋ることはなかった。関西と言っても、奈良はまた静かなのかな、と僕は思った。
ただ、タクシーを降りる際に、僕が、「ありがとうございます」と言うと、締まっていくドアのすき間から、不器用な「おおきに」という声が聞こえ、くすぐったいような、嬉しい気持ちになった。
タクシーを降り、眼前に広がる生駒の風景を眺めていると、風に揺れる木々の葉のこすれる音の向こうから、鶯の鳴き声が聴こえてきた。嘘みたいに澄んだ鳴き声だった。
僕は、もうしばらく食事はできないのだな、と名残惜しく思い、生駒の風景を眺め、鶯の声に耳を傾けながら、残りの煎餅をかじった。
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