社会とビジネス
化学物質過敏症、「香害110番」はクレーマー、という声に

Glass Story
香害110番の設置
日本消費者連盟は、「人工的な臭い」によって頭痛や吐き気など体調が悪化するという人たちの声を拾うために、期間限定で、「香害110番」を設置しました。
香水や制汗剤、柔軟剤などに含まれる人工の香り。こうした香りが原因で、体調不良を訴える人が少なくないとして、日本消費者連盟は、「香害110番」を設置する。
「近所の人の洗濯物のにおいでベランダに出られない」、「においが原因で電車に乗れない」など、香りに悩んでいる人が増えているという。
出典 : においの悩みに…「香害110番」設置へ|FNN
香害110番の電話番号や受付期間などの詳細は以下の通りです。
受付期間
第1回 2017年7月26日(水)
午前11時~午後3時
第2回 2017年8月 1日(火)
午前11時~午後3時
電話番号
03 5291 2166
さて、この「香害110番」ですが、素朴な疑問として、電話をかけて日本消費者連盟は一体何をしてくれるのでしょうか。
一見、「110番」という名称から、すぐに駆けつけて即座に解決してくれるような印象を抱くかもしれません。しかし、その目的について連盟は「声の可視化」であると言います。
担当者によれば、「当事者の声を集め、行政やメーカーに改善を求めていきたい」と言います。
これだけの「消費者の声」がある、という結果を見える化し、政治やメーカーに働きかけていくということでしょう。
ちなみに、この件と関連して、ちょっと前にも、名鉄バスで「リラックス」を目的にアロマ発生器を導入し、批判の声が(特に化学物質過敏症の患者団体から)挙がりました。
ただでさえ、あらゆる生活圏から排除されつつある化学物質過敏症の患者の数少ない「移動手段」さえも奪いかねないことに異論の声が挙がったのでした。
香害110番はクレーマー?
ところで、この「香害110番」の設置には、「クレーマーを助長するだけだ」、といったような批判も相次ぎました。
臭い、という理由で文句を言うのは、最近多い理不尽なクレーマーに過ぎないではないか、と。
日本消費者連盟が『香害110番』を設置という報道。気持ちは分からんでもないけど、不快だからと何でもかんでも社会問題化したその先には、『世界一クリーンだけど世界一抑圧された相互罰社会』しかないんちゃう?それ幸せ?
— Nui Armstrong (@Tak197011) 2017年7月14日
香害110番って…病気とかアレルギーじゃないから分からないけどギスギスした世の中になってきたね。香水とかならまだしも体質でもともと体臭とかキツい人可哀想
— 歩く18禁*NieRはいいぞ (@hazukintama) 2017年7月14日
人によって臭いの好き嫌いはありますが、現代社会はなんか「クレーマー」の嵐だと思いません?
一人一人の「思いやりの精神」というのが欠けてきてる感じがします。
においの悩みに…「香害110番」設置- https://t.co/SORXLLVjkh @YahooNewsTopics— 花子 (@hanahanajapan02) 2017年7月14日
しかし、これは「香害」という言葉のイメージや誤解に基づいた結論だと僕は思います。
まず「香害」と言うと、「香り全般」を非難しているような印象を与えますし、「110番」と言うと、その香りをその都度すぐに取り締まるようなイメージを沸かせます。
そして、まるで臭いを発しているひとが「犯人」のように映ります(「私はワキガだ」と悩んでいるひとを追い詰めることにもなりかねません)。
でも、実際にここで問題になっているのは、「人工的な香り」です。
体に備わった「自然の香り」とは違う。ここはしっかりと切り分けて考えなければいけません。
もちろん、その匂いも生理的に嫌悪することはあるでしょうが、「人工的な香り」は病的な症状を引き起こします(化学物質過敏症)。
また、「110番」も、決して即座に何かがやってきて「香りのもと」を退治するわけではありません。香りのもとは、「メーカー」や規制を管轄する「行政」ですから。
ただ「臭い」と言って騒ぐ「クレーマー」ではないのです。
夏の電車の車内
化学物質過敏症の患者にとって、夏の電車の車内は、アレルゲンにとりかこまれたような地獄の環境になります。
制汗スプレーや日焼け止め、香水、もし空気に色がついたら到底息もできないような混濁した色となるでしょう。
こうした症状に対して、「自分は大丈夫だ」と言う意見もあるでしょうが、身体的な感受性は人それぞれです。
より敏感な人たち(弱者)に合わせて生活空間(バリアフリー化含め)も設計されていくべきではないでしょうか。
しかし、残念ながら「化学物質過敏症」という病気は一向に認知が進みません。
なぜなら、この症状は、「一般の人たち」の生活を根本から揺るがしますし、「化学物質」の背後には巨大なスポンサー企業が存在しているので、テレビなどで大々的に報道することは難しいのが実状だからです。
そのため、「香り」の裏に何があるかまでは踏み込みませんし、化学物質過敏症患者は、きらびやかな世界で、影に追いやられるのです。
ユアタイムってニュース番組のラストに香害110番を紹介してたけど、出演者みんな「なにそれ(笑)」とか「それに税金使うの?」みたいなヘラヘラ笑うだけで終わった。利用範囲は分からないけど恐らくアレルギーの方のためだという大事な部分は一切言わないの、紹介する意味なくない??
— 梶浦 杏@秋に小狐丸 (@an_pon_tan1000) 2017年7月13日
昨夜のユアタイム、香害110番ができたというニュースに対して、臭いがするところはさっと通りすぎればいいだけで大袈裟でしょ、みたいなことを言っていた。自身はそれでいいかもしれないけれど、コメンテーターならば化学物質過敏症という病気の人がいることも理解して発言すべき。 #ユアタイム
— ( ˊ̱˂˃ˋ̱ ) (@ipoo0091) 2017年7月13日
香害110番への否定的な意見で、「香害110番は単に匂いがイヤって人のためのものでしょ?」というのを見かけますが、そうではありません。
ぜひ本当の主旨の「健康被害」(化学物質過敏症など)の認知促進にご協力お願いします。https://t.co/LQkGWzeKJ3— ぱんだ (@greenwhite_s) 2017年7月14日
アメリカン航空では、新しい制服を導入した途端に体調不良の人が続出するというトラブルがありました。
制服を一新してからの数か月間、AAでは体調不良を訴える従業員が相次いでいる。
ブルームバーグの報道によれば、制服の変更以来、不調を報告したパイロットはおよそ100人、客室乗務員は3000人を超えている。
主な症状は、発疹、かゆみ、目の腫れ、気分の悪さなど。中には出勤できないほど症状が重い人もいる。
この原因も、「香り」も含めた人工的な化学物質が原因であると考えられています。
この「香害(公害)」問題は、単なる「クレーマー」で終わらせてはいけない、ひとりひとりの未来、我が子の未来にかかわることではないかと、そんな風に思います。
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