からだと自然
小川洋子さん(作家)さんの「私は薬をあまり信用していない」という言葉から考える「薬」を飲まない理由

Glass Story
「薬を信用していない」
作家の小川洋子さんは、かつて『深き心の底より』というエッセイ集で、「薬をあまり信用していない」と綴っている。
私はあまり薬を信用していない。息子はしょっちゅう扁桃腺を腫らしたり、鼻を詰まらせたりしているが、市販の薬など飲ませない。かかりつけの小児科の先生は、熱を下げるための座薬は使わない。
重病でなければ、熱は恐ろしいものではなく、治ろうとする身体の意志の現れなのだ。だから私は熱が高くても、あまり悲観的にならないようにしている。
病気の「原因」というのは大抵が食生活や睡眠不足、積み重なった疲労やストレスの「結果」である。
そして、この「結果」を症状であり原因であり「病」としてふさぐのが薬だ。
しかし、小川洋子さんが書いているように、熱にしても嘔吐にしても下痢にしても、症状というのは身体の治癒反応である。
これを悪者として薬で抑えようとするので、おかしなことになっていく。
薬がなければ耐えられない、というひともいる。
だから絶対に薬を使うべきではない、というつもりはないが、ただ、最初の「原因」のとらえかたを間違えて、「薬」で補ったり抑え込んだりしている状態を、今は「治った」と言っている。それが「普通」だと考える。
こうして「普通」を求めて、薬がやめられなくなる。
いちばん最初のボタンのかけ違いが、いずれは薬の常用、体の依存ということに繋がってゆく。
しかし、日本ではとにかく「すぐに薬をのませる」のが正しいという風潮が根強い。
医療が国民皆保険制度によって身近なこともあるのかもしれない、飲まない薬を大量に袋にさげて持って帰る患者さんも多い。だれもがなんらかの薬を飲んでいる。
怖いのは、「薬を飲ませる」ことが絶対善であり、「愛情」である、という強制的な空気が醸成されることである。
小川さんは、子どもの病気の際にもなるべく薬を飲ませない、というが、これが「虐待」という風にとらえられる可能性がある。
すでに予防ワクチンを拒否することで、児童相談所が「ネグレクト(児童虐待)」ととらえるという話まであるという。
ワクチンを拒否する(薬が絶対ではないと考える)ことを、虐待といって「悪」にすることが、どれほど窮屈で自由を制限しているか、そう思うと、こうした空気がとても怖いと感じるのである。
薬を飲まない理由、飲ませない理由というのも、ちゃんとあるのだ。そして、その「自由」は絶対に守られなくてはいけない。
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