朝食抜き
朝食抜きは太るは嘘? 科学的根拠とは
Glass Story
朝食抜きは太る、という研究
朝食抜きは太る、ということの科学的根拠が見つかった、という研究が発表され、ツイッター上でも話題となっていました。
その内容について簡単に解説したいと思います。
もともと定説として「朝食抜きは太る」というものがあり、今回の研究は、そのメカニズムが判明した、というものです。
名古屋大大学院の小田裕昭准教授の研究グループは、ラットの実験により、「朝食抜きによって体内時計が狂い、体重が増えた」と結論付けました。
実験内容は以下の通りです。
まず、56匹のラットを2グループに分け、片方は通常通りに餌を、もう片方は起きた4時間後に餌を与えます。後者が「朝食抜き」のラットです。
ラットは、起きている間は断続的に餌を食べ続ける習性があるようです。
この2グループそれぞれに14日間、高脂肪の餌を同じ量だけ与えました。
この実験の結果、後者のグループ(朝食抜き)は、前者と比較して7、8%体重が増加していました。
そして、両者を細胞レベルで比較すると、朝食抜きのグループの体内時計に4時間の遅れが生じ、体温の高い時間が短くなっていたと言います。
朝食を抜くことで、体内時計に狂いが生じ、活動時間が少なくなったことで体重が減少した、というのが、朝食抜きで太る科学的根拠だと語ります。
朝食抜きで太るは嘘?
一方、朝食は体重増加と関連しない、という米国の研究もありました。
アラバマ大学バーミングハム校のエミリー・ダランダー率いる研究チームは、300人以上の肥満者を対象に、摂取カロリーを同等に調節しながら16週間にわたる調査を行った。結論から言うと朝食を食べた人と朝食を抜いた人の間に減量の差はまったく生じなかったという。
また、別の研究によれば、朝食抜きは体重以外に「他の部分」で影響があるそうです。
悪い影響としては、冠状動脈心疾患を増加させる、という報告があり、良い影響としては、空腹状態が長寿遺伝子と呼ばれる「サーチュイン遺伝子」の活性化に繋がるそうです。
サーチュイン遺伝子は、老化やがんの原因となる活性酸素を抑制し、免疫抗体を活性化し、全身の細胞の修復を行うなど、さまざまな老化防止の機能があることで知られています。
実際に、医師の南雲吉則さんは、朝食抜きの一日一食に変えてから、体重20キロ減、脳年齢38歳、骨年齢28歳、血管年齢26歳になったそうです(参照 : 朝食抜きは基本のキ 中高年の健康は「1日1食」)。
また、47歳まで現役を続けたプロ野球の工藤公康(現ソフトバンクホークス監督)も、定期的に断食を行なうことで若かりし頃の不調を脱したそうです。
もちろん、「朝食抜きで太る」ということは「嘘」とは言いませんが、名古屋大の研究は、あくまで「朝食抜き」ゆえ「体重増加」という一点に絞った研究結果にすぎません。
もしかしたら、前者のラットは太る代わりになんだか疲労感が抜けなかったり、イライラやうつ症状など精神的に不安定かもしれません。
こういったことは、人間のように言葉で伝えられないと分からない症状です(人間でも、言葉で伝えても「気のせいだ」と言われることも多いくらいです)。
また、この研究結果は「体内時計が狂わせ、太る」という話です。
たぶん、スマホやパソコン、誰かの小言やブラック企業、LED電球や満員電車のストレスも、「体内時計を狂わせ、太る」という科学的な結論になるでしょう。
まとめ
一日一食で健康寿命の長い著名人も大勢いますし、実際、食べるほうが眠かったり重だるくなったりするひとも多いのではないでしょうか。
朝食抜きやプチ断食は、先ほど触れたように、「サーチュイン遺伝子」や「腸内環境の改善」という観点から行うもので、視点を変えれば違ったメリット・デメリットはいくらでも見えてくるでしょう。
朝食抜きが絶対正しいとは言いませんが、絶対間違いだ、というのも変だと思うし、それぞれ試してみて調子がいい方を選べばいいんじゃないかな、と思います。