からだと自然
「現実感がない」「生きている実感が薄い」ということの整体から見た原因と対処法
解離性障害や離人症と名づけられる、「現実感がない」といったような状態に、ほとんど慢性的になっている場合がある。
それは、ふわふわとした浮遊感、この世界が偽物のような、まるで誰かの記憶のなかに迷い込んでしまったような感覚と表現できるかもしれない。
あるドキュメンタリー番組では、オウム真理教の信者の多くが入信する以前から、「夢と現実の区別がつかない」ような状態にあったと言う。
また、ここ10年ほどだろうか、無差別通り魔事件で「誰でもよかった」という言葉を頻繁に耳にするようになった。
自分でもよかったし、他人でもよかった。
それは、心理学の用語で「拡大自殺」や「間接自殺」と言われるような、要するに、「自分」と「他人」や、「夢のような現実」と「現実のような夢」の境界線が混乱した世界と言える。
こういう状態を、整体師の片山洋次郎さんは、著書『ユルかしこい身体になる』で整体の視点から、次のように考察している。
情報(ストレス)に反応する場所に胸椎5番と呼ばれる部位がある。
画像引用「ユルかしこい身体になる」
情報(ストレス)は精神的なものだけではなく、ディスプレイや排ガス、市販薬や抗生物質、添加物や農薬、菌やウイルスなど、様々な「微量の物理的なストレス」が、身体に負荷となってかかる。
整体的に見れば、花粉などのアレルギーの原因物質(アレルゲン)、さまざまな化学物質(環境ホルモン、抗生剤をはじめとする薬物)、ウィルス、菌、寄生虫なども、身体にとっては外側からやってくる情報に他ならない。
___『ユルかしこい身体になる』片山洋次郎著
その負担が、胸椎5番に集まってくる。
そうすると、胸椎5番のちょうど反対側、「檀中(だんちゅう)」と呼ばれる胸の真ん中あたりも連動して堅く、縮こまってくる(「胸騒ぎ」が起きたり、猫背になるのも、身体が緩まろうとしている一作用である)。
ちなみに「檀中」とは、ストレスや不安、花粉症などアレルギー症状のツボと言われている。
情報(ストレス)を過剰に浴びることによって、胸は緊張する。胸が緊張すると、息を吐ききらないうちに吸ってしまうという状態になりやすい。その結果、過喚気症を起こすこともある。
過換気状態のとき、脳内では酸素が過剰な状況が生まれている(……)意識レベルではトランス状態に近くなる(……)いわゆる「夢うつつ」の状態だ。
___前出『ユルかしこい身体になる』
つまり、〈過剰な情報 → 胸が緊張して呼吸が浅く → 過換気状態 → 酸素過剰〉で意識がぼんやりとしてくる。
そして、現実と夢の真ん中あたりで「おろおろ」する。
その状態から抜け出すために、この本では二つの「ハウツー」が用意されている。
1、脱力して意識の過剰なコントロールを外す方法
ヨーガ、呼吸法、走る、食べる、笑う、泣くなど、「頭でっかち」ではなく、全身で生きる機会を増やす。
2、思いっきり解離する → 解離しきってしまうと自動的に意識は身体に戻る=安心する
ライブ会場やパワースポットなど非日常的な空間に身を置く。いったん現実から遠く離れ、反動で身体に戻る。
また、その場で簡単にできることとしては、手のひらで優しく包むように「檀中」に手を当てる。
最初は「触っている」感覚が強いと思うが、胸の側から見る、「触られている」感覚を意識する。
次第に手のひらが温かくなってくる。すると、さっきよりもだいぶ緩んでいる。
もちろん、日常的に、そのような「情報」を避けるように工夫することも大事だろう。
人間は、心の問題、食事の問題、こういった整体的な視点など、様々な要因が複雑にからまって「今」がある。
だからこそ、一度立ち止まって、胸に手を当てて、ゆっくりと息を吐き出して、そういった視点から眺めてみることも大切だと僕は思う。

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