からだと自然
現実感が薄い、世界が遠い、生きてる実感がない、という離人症の整体から見た原因と対処法

Glass Story
生きてる実感、現実感の薄い世界
解離性障害や離人症と名づけられるような、「現実感が薄い」「世界が遠い」「生きてる実感がない」といった状態に慢性的に陥ってしまう場合があります。
視界が膜で覆われたような、ふわふわとした浮遊感。
自分の生きている世界が偽物のような、遠く、まるで誰かの記憶のなかに迷い込んでしまったような感覚が、まとわりついて離れない。
離人症の歴史は古く、1928年に執筆されたドイツ人の精神分析医ポール・シルダーは離人症について次のように記述しています。
離人症の人の目には、周りの世界は、異様で、奇妙で、なじみがなく、夢のように映る。
物はときおり不思議なほど小さく見え、平たくなることもある。音は遠くから聞こえるように思える
情動もやはり、著しく変化する。患者たちは、苦痛も快感も経験できないと苦情を言う。
彼らは自分自身に不案内になってしまったのだ。
また、オウム真理教をテーマにした、あるドキュメンタリー番組で次のようなナレーションがありました。
それは、「オウム真理教信者の多くが、入信する以前から、よく夢と現実の区別がつかない感覚に襲われていた」というものでした。
一方、無差別通り魔事件や突発的な殺人事件では、「誰でもよかった」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
誰でもよかった。
自分でもよかったし、他人でもよかった。
彼らは、「自分」と「他人」や、「夢のような現実」と「現実のような夢」の境界線が混乱した、「現実感がない」意識の世界を漂っているのです(これが「拡大自殺」と呼ばれる心理状況の温床ともなります)。
離人症の整体的な視点から見た原因
このような意識状態を、整体師の片山洋次郎氏は、著書『ユルかしこい身体になる』で、整体としての視点から、次のように考察しています。
まず、情報(ストレス)に反応する場所として、背骨に連なる脊椎に「胸椎5番」と呼ばれる部位があります。
整体的に見たとき、体にとっての情報(ストレス)とは精神的なものだけではありません。
ディスプレイの光や排ガス、市販薬や抗生物質、添加物や農薬、菌やウイルスなど、様々な微量の物理的なストレスを、体は負荷として認識します。
整体的に見れば、花粉などのアレルギーの原因物質(アレルゲン)、さまざまな化学物質(環境ホルモン、抗生剤をはじめとする薬物)、ウィルス、菌、寄生虫なども、身体にとっては外側からやってくる情報に他ならない。
この負担が、胸椎5番に集まってきます。
そして、胸椎5番のちょうど反対側の、「檀中(だんちゅう)」と呼ばれる胸の真ん中あたりのツボも連動し、縮こまって硬くなっていきます(「胸騒ぎ」が起きたり、猫背になるのも、この胸のあたりの緊張から身体が緩まろうとしている一作用なのです)。
この「檀中」というのは、ストレスや不安、あるいは花粉症などアレルギー症状と関連したツボでもあります。
離人症や慢性的な不安感に悩んでいるときは、胸の真ん中の骨の部分を触ってみると、ぎゅっと締め付けられるように硬くなっていると思います。
この胸の緊張が、呼吸にも影響を与えます。
情報(ストレス)を過剰に浴びることによって、胸は緊張する。胸が緊張すると、息を吐ききらないうちに吸ってしまうという状態になりやすい。その結果、過喚気症を起こすこともある。
過換気状態のとき、脳内では酸素が過剰な状況が生まれている(……)意識レベルではトランス状態に近くなる(……)いわゆる「夢うつつ」の状態だ。
以下、ここまでの流れを簡単に要約したいと思います。
まず、過剰な情報(ストレス)に身体がのみこまれます。胸が緊張して呼吸が浅くなり、呼吸の慢性的な不全から、過換気状態になり、酸素過剰となる。
その結果として、「夢うつつ」になる。
こうして現実と夢の真ん中を彷徨っているような、「現実感が薄い」「世界が遠い」「生きてる実感がない」といった感覚(これを精神医学では「離人症」と呼んでいる)に陥るのです。
離人症と手当て
こうした「離人症」に対する対処法としておすすめしたいのが、昔ながらの「手当て」という方法です。
まず、可能な範囲で構わないので心身にとって静かな環境を用意します。
静かな環境とは、「情報」の少ない環境のこと。たとえば、テレビやスマホの電源を切る。川沿いに座る。部屋であれば、窓を開けて、空気を入れ替える。
次に、その空間で、目を閉じ、片方の手のひらで優しく包むように胸の真ん中(「檀中」)に手を当てる。
そのとき、もし「触っている」という感覚のほうが強いようなら過喚起状態にあります。
この状態に対して、反対に、イメージとしては「胸の側から見るような感覚で〈触られている〉」ということを意識してみて下さい。
この〈触られている〉という感覚を意識しながら、しばらく呼吸を続けていると、次第に手のひらが温かく、胸の緊張が緩み、呼吸も深くなってきます。
そして、その呼吸の深さに合わせるように、現実感もゆっくりと戻ってきて、ちょうど「我に帰る」といった感じになるでしょう。
こうした「手当て」以外にも、木々や地面に直接触れたり、川沿いを走ったり、またハイキングや海水浴に行くなど、自然に包まれた環境に身を置くことも、離人症には効果的な方法です。
一口に「意識」や「精神」と言っても、心の問題だけでなく、食事や体のバランスなど、様々な要因が複雑に絡み合って「今」があります。
もし、単一の原因を追いかけて袋小路にはまっているようなら、一度立ち止まって、胸に手を当てて、ゆっくりと深く息を吐き出してみて下さい。
ほんの少し、張りつめた霧が晴れるかもしれません。
ユルかしこい身体になる 整体でわかる情報ストレスに負けないカラダとココロのメカニズム / 片山洋次郎
GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス / ジョンJ.レイティ他 野中 香方子訳
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