政治と社会
オープンな選考過程|ニュージーランドの国旗から学ぶ、五輪エンブレムや新国立競技場のデザイン案
現在、日本では五輪エンブレムのデザインの盗用と白紙撤回が問題になっているが、ニュージーランドでは、新しい国旗のデザイン案が話題になっている。
僕は、このニュージーランドの新国旗の選考過程に、日本の五輪エンブレムや新国立競技場のデザイン案の選考も学ぶべきことがあると思う。
現行のニュージーランドの国旗は、デザインが豪州とよく似ている。
今までも、豪州の国旗の前にニュージーランドの首相が立たされたり、その逆もあったそうだ。
そのためオリジナリティを求めて国旗の変更が決まった。
選考の過程は、まず公募をつのり、そこで1万通のデザインが集まった。
そして、様々なジャンルの業界から選ばれた選考委員によって最終候補の4種類に絞られた。
この1万通の段階で、選考過程は公開された。その理由は、「オープンにすることでネット上のチエックが入り、予め盗作が防止できる」と言う。
こういう冷静でロジカルな判断が凄いなと僕は思う。
その最終候補の4作品が、今後、国民投票によって一つに絞られることになる。
子供たちが、どの国旗が格好いいか楽しそうに話したり、老若男女が酒のつまみに話題にする。
さらに、最終案と現行の国旗を、もう一度国民投票にかけ、国旗の変更が決まる、という徹底ぶりだ。
何よりもこの「みんなで話題にする」過程が羨ましいなと思う。同じ「話題」でも、日本とは雲泥の差だと、正直げんなりする。
なぜ五輪のデザイン選考が公開にならないかと言うと、一つは商標登録の問題がある。
オープンな公募をということで応募作を事前に公開してしまうと、よからぬ輩が先に勝手に商標登録出願してしまうリスクが生じます。商標は先願主義なので、先に同じ(または類似の)出願があると、後の出願は登録できません。
引用 : 新五輪エンブレムをネット審査する場合の商標法上の考慮点について
著作権の場合は登録制ではなく、発表すれば自然に発生する。
でも、デザインは著作権だけではなく、独占使用するために商標権の登録が必要で、商標権は、先願主義、すなわち先に登録した方が取得できるのだ。
その解決策として、たとえば予め最終候補の数種類を全て商標登録するといった方法がある。
国旗とは違う、といった意見もあるだろうし、色々とハードルもあると思う。
それでも、戦争を経て開催された1964年最初の五輪から約半世紀、震災を経た2020年、二度目の東京五輪というのは、日本が今後どういった国づくりをしていくべきか、その大きな旗印にもなると僕は思う。
だからこそ、新国立競技場にしても、エンブレムのデザインにしても、もっと国民の声を反映できる形にすべきではないだろうか。
老若男女が、気軽に語り合える祭典として、国民投票のような形を採用してほしいと思う。
最後に、デザイナーの原研哉さんは、2014年5月28日付の毎日新聞のコラムで、五輪のデザインについて次のように語っている。
一国の伝統文化の粋を尽くして、運営の全局面を担うことで醸成される誇りと独創性が、世界の人々の、開催国への興味と敬意を引き出す。
そのために、彼は幾つかの提言をする。
あらゆるデザインや建築を意欲ある才能に開かれたコンペティションとし、そのプロセスを公開する。そして審査経過や結果の解説を丁寧に行い、設計競合そのものを広報資源として活用していくのである。
……審査の一部への一般投票の活用も、人々の興味を喚起するには効果的かもしれない。
ぜひ、日本のデザイン開花のためにも、競技者だけでなく、スポーツに興味の薄い方でも、みんなが参加者となれる「祭典」にしてほしいと思う。
SUBTLE―サトル かすかな、ほんのわずかの The 47th TAKEO PAPER SHOW
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