賢い消費者の必要性|なぜトリクルダウンは起きないのか | コップのお話

政治と経済

賢い消費者の必要性|なぜトリクルダウンは起きないのか

     
Glass Story

日本の企業も家庭も、内部留保、貯蓄がたくさんあると言います。

しかし、貯め込んでいるだけでは経済は回りません。
 

そこで提唱されたアベノミクスの本質、それは大企業を優遇するような政策によって大企業が潤えば、今度は彼らが設備投資や給与アップなどで貯め込んだものを使うようになる。

そうすれば関連企業も収益が上がるし、社員も給料が上がることでブランド物を買ったり美味しいものを食べたり散財するだろう。

その結果、経済が循環して、わざわざ政府が富裕層から取り上げるまでもなく自然と下々まで金が落ちてくる。

これがアベノミクスと切っても切り離せないトリクルダウン理論です。

トリクルダウン理論(トリクルダウン理論、トリクルダウン仮説、trickle-down effect)とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)」とする経済理論または経済思想である。

出典 : wikipedia「トリクルダウン理論」

トリクルダウン、たぶんこんなことは起きないだろうと思います、永遠に。

事実、利益の出た(ように見える)大企業は、その金をさらに貯め込んでいるそうです。

そりゃそうだ、というのが率直な感想です。

僕は経済学のことは全然知りません。

でも、別に僕たちは「経済」という世俗と完全に分離したゲームをしているわけではありません。
 

個人も、個人の集合体である企業も、なぜ貯蓄するかと言ったら、その根本には将来に対する〈不安〉があると僕は思います。

かつての「未来はきっとバラ色だ」と思えた時代と違って、今のことだけを考えるわけにはいきません。

じゃあ、なぜ〈不安〉なのかと言ったら、おそらくそれは到底ただ一つの学問では収まりきらない問題でしょう。
 

たとえば一つには情報過多があるのだろうと思います。

情報があまりに多すぎる、選択肢が無限に迫ってくる。情報が多ければ多いほど、選択するこちら側も冷静に判断する余裕がなくなり、闇雲に不安感だけが襲ってきます。

やがて「誰か決めて」とすがるように声のデカイ分かりやすい独裁者を求めるでしょう。
 

また、〈不安〉というのは自律神経も絡んできます。

自律神経を侵害するのは、添加物、農薬、放射性物質、過労、まさに「未来はきっとバラ色だ」の世界を作ってきた素材たちです。
 

為政者は、「未来はきっとバラ色だ」と思わせるために、経済を過剰に回す必要があります。

そのためには当然「賢い消費者」は邪魔です。

一日三食以上食べて、間食もして、ブランド物を次々買って、車を複数台買って、ボタンで溢れたリモコン付きのテレビを買って、足も手も生えた冷蔵庫を買って、体を壊したら病院で人間ドックと投薬と手術を受ける。

深く物事は考えず、新しさと流行に飛びついては冷める。飛びついては冷める。

こういう「消費者」で国が溢れ返る必要があったのです(と同時に、家族も体も顧みないで働くモーレツ社員との両輪)。そして、事実そうなりました。

昨今少しずつ広がっているような、断捨離や少食、無添加、無農薬、リメイク、なるべく公共機関を利用し、物はこだわりを持って購入して長く大切に使う。健康的で、医者にかからない。

こんな「賢い消費者」で溢れたら、この国の経済は破綻するじゃないか、というわけです。

変な話です。
 

困ったな、なんとか「未来はきっとバラ色だ」という信仰を信じさせないと貯め込んだ金を使わないぞ。

今までずっとそうして「成功」してきたのに、なぜ〈不安〉が邪魔をするのだろう?

それはまさしく「未来はきっとバラ色だ」政策の「結果」です。

長年の「未来はきっとバラ色だ」政策の結果、「未来はきっとバラ色だ、と思えない」状態になっているのに、その対処法として、「未来はきっとバラ色だ」政策をさらに振りまく。

その方向性が前提となっていたら、どんな手段を使っても行き着く先は一緒でしょう。
 

すぐに「即効性のある薬を出せ! 対案を出せ!」と叫ぶ人たちも、一度立ち止まって、ひとまず「賢い消費者」になることから始めてみてはいかがでしょうか。

賢い消費者は、賢い生産者を生み出し、守り、病んだ世界もゆっくりと治癒していくでしょう。
 

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2016-01-11 | Posted in 政治と経済