文学と芸術
作家フランツ・カフカの病気と健康観

Glass Story
心の肩代わり
心が本来背負うべきだったものを、その都度いつも我慢して、押さえつけてきたから、そのぶんだけ体がいっそう背負うことになる。
それは、借金の肩代わりで支払いやら取り立てに追われるようなものだ。
ときどき、体が健やかさに向かう一歩を恐れたり、うつ病は治りかけが危ないと言われるゆえんも、体が健やかになればなるほど、一時的にではあれ、隠してきた、逃れてきた、心の痛みが表面化するからだろう。
そのとき、その不協和音を上手に乗りこなすことができれば、病(傷)は治癒に向かっていく。
一方で、心の側も黙ってはいない。慌てて自分の身を隠そうと、再び体に負担を押しつけようとする。
その押し問答のあいだも、負担は降りやまない雪のように着実に積もってゆく。
フランツ・カフカの比喩
若い頃から心と体に病を抱えてきた作家フランツ・カフカは、のちの恋人に宛てた手紙で、自身の病気に関して面白い表現で説明をしている。
彼女が肺の病気をわずらっていると聞き、カフカが自身の病状や喀血の体験と照らし合わせて使ったのが、「肺が名乗りをあげた」という比喩である。
あのころわたしが発病に対して、自分用に用意していた説明を思い出したのです。多くの場合に通用すると思います。
つまり、自分に課せられた心配や苦痛に頭が耐え切れなくなったというのです。頭が言いました。「おれはもう無理だ。しかし、まだなんとかしのいでもらわなくては、と言うのがいたら、そいつに重荷を少ししょってもらおう。そうすれば、もう少しはもつだろう」そこに肺が名乗り出ました。引き受けて、悪い話じゃない。
わたしの知らないところで進行した頭と肺の取引ですね、これは怖いことだったのではないでしょうか。
カフカは、この手紙の数年後に肺結核で亡くなっている。
ただ、カフカ自身は、この「死」を予感させる喀血の瞬間を、決して不幸とは捉えていなかったと、同じ手紙のなかで語っている。
あるはっきりとした根拠があって、とカフカは書く。
あるはっきりとした根拠があって、不眠に苦しんだこの三、四年のあと、血がとまりさえすれば、これでぐっすり眠れるということがわかってきたからです。
実際、カフカはその後すぐに眠れた。翌朝も快適で、喀血もこれっきりだった。ただ、朝の掃除係の娘が部屋を訪れて、血を見るなり言った。
“センセイさん、いのちがながくないですよ。”
カフカは、この病体を、「肺結核」という単なる病名以上の何か、破滅や罰、絶望のしるしと結びつけて考えていた。
これは頭と肺という自分自身の体内に留まる取引ではない、ととらえていたのかもしれない。
目が覚めると、突然ふしぎな虫になっている。身に覚えもないのに逮捕されて死刑宣告を受ける。遠方から呼ばれたのに永遠に城にたどり着けない。
あるいは、食べるものが合わなくて断食せざるをえず、そのまま死んでいった断食芸人の物語。
こうした作品に漂う絶望的な不条理性は、彼の病気の体験や健康観と、決して無関係ではない。
病者カフカ―最後の日々の記録 / ロートラウト ハッカーミュラー
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