からだと自然
海の汚染が食卓に 塩や魚にプラスチックで、化学物質過敏症患者が「食べられない」リスクも

Glass Story
写真 杉本博司「海景」
塩とプラスチック
マレーシアの研究グループが、「Nature」のオンライン版に、ある「海の汚染」にまつわる研究レポートを発表しました。
それは、海でとれる塩とプラスチックにまつわる研究で、この研究で明らかにされたのが、「日常で捨てられたプラスチックゴミが、細かく砕けながら微細な破片となって海に流れ、塩となって食卓に戻ってくる」というものでした。
この研究グループが行なった研究の対象は、8ヶ国で製造された16種類の食塩(ブランド名は公表されていない)。そして、そのうちの15種類に、マイクロプラスチック(大きさが1~1,000μmのプラスチック粒子)が含まれていたことが判明したのです。
世界中の海でとれた塩の多くに(食塩という食卓に届く形であるにも関わらず)プラスチックが含まれていた、という驚きの事実。
また、過去のべつの調査では、甲殻類の体内にも多量のプラスチックが見つかっています。エビやイカなどの甲殻類が、餌と間違えて海に流れる細かなプラスチックを食べてしまっているのです。
過去の研究によると、甲殻類を好むヨーロッパの人々は、1年に最大1万1,000個のマイクロプラスティック粒子を食べている可能性があると推測されている。この量が健康上のリスクをもたらすかどうかは、まだ明らかになっていない。
健康上のリスクが明らかになっていないのは、プラスチックのリスクのみを取り上げて、長期的に健康面での影響が出るか、という調査が、ほとんど不可能に近いからです。
あるいは、以下の文章で生物学者の福岡伸一さんが触れている「電磁波」の健康への影響に関する事情と似通った側面もあるのかもしれません(「電磁波」を「プラスチック」に変えて読んでみて下さい)。
電磁波と健康被害の因果関係を立証しようとすれば、(……)実際に実証実験を行うしかない。
(実証実験のような)研究を行うために、研究者は強固なモチベーションと何らかのインセンティブを必要とする。なぜなら、仮に結果がクロと出た場合、それによって引き起こされるあらゆるセンセーションを引き受け、関係企業からわきあがるであろう白矢のごとき批判に耐えうるだけの精緻さを用意せねばならないからだ。
そして何より、このような研究のために誰が百額の研究費を捻出してくれるだろうか。
それでは、こうした海のプラスチック汚染は、果たして海外だけの話なのでしょうか。
東京湾のイワシ
数年前、東京農工大学が行なった調査によって、東京湾で採れたイワシの8割の体内からマイクロプラスチックが見つかりました。
プラスチックは0、1〜1ミリの大きさが大半を占めていたと言います。
高田教授は「予想より多く、東京湾の魚は日常的にプラスチックを食べていると考えられる。世界の報告例と比べても多い方だ」としている。
日本の海で、世界の報告例と比べても多い量のプラスチックが魚の体内から見つかったということは、(これは東京湾に限った調査ですが)塩に関しても同様のことが推測されます。
日本の海でとれた塩も、おそらくプラスチックを多分に含んでいることでしょう。
また汚染はプラスチックだけではありません。農薬や化学肥料、放射性物質、合成洗剤なども、最後は海へ流れ着きます。
化学物質過敏症と塩
こうした化学物質に汚染された食塩や魚を食べても、確かに短期的に見れば、急性症状や健康への悪影響は見られないかもしれません。
しかし、たとえば、分かりやすく目に見える形として、化学物質過敏症の患者さんが、「食べられない」というリスクは想定されます。
化学物質過敏症とは、昨今「香害」という言葉でも注目を浴びているように、人工的な化学物質に、体が激しい頭痛や吐き気など様々な拒否反応を示す疾患で、先進国を中心に増加の傾向にあります(以下、「Everything Makes Them Sick|The NewYork Times(SundayReview)」より)。
この約100年(日本では戦後の1970年前後から)ほどで、アレルギーは世界的に増加し、今では生まれつきアレルギー性疾患を抱えていることも珍しいものではなくなりました。
同じように、生まれつき化学物質過敏症を抱えている赤ん坊も、きっとこれから先、着実に増えていくことでしょう。
そして、そのとき赤ん坊が、食事といっしょに化学物質を摂取している母親の母乳を飲めない、ということも当然起こり得ます。
海の汚染とは、すなわち母の汚染でもあるのです。
海よ、
僕らの使ふ文字では、
お前の中に母がゐる。
三好達治「郷愁」より
人類の、もう一つの自殺。
マクロな「世界の終焉」が核戦争であるならば、これはミクロな「世界の終焉」と言えるかもしれません。
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