香害
香害と体臭
Glass Story
香害と体臭
宮城県の多賀城駅前にある自然派のカフェ「コトリコーヒー」さんは、小鳥が羽を休められるように、という想いを込めてつくられた小さなカフェ。
店主の方は、化学物質過敏症を患っており、柔軟剤や香水、香り付き合成洗剤などで体調が悪くなることから、人工香料を使用したお客さんは入店をお断りすることもあるとのこと。
しかし、体調の限界ゆえ、今年で閉店することに。
画像 : コトリコーヒー、公式インスタグラム
体に優しい食事を提供し、香害に悩んでいるひとたちが励まし合うことのできる空間だったコトリコーヒーですが、一方で不理解や否定的な方もいたことから、身体的、精神的に限界が訪れ、閉店に至ったとのこと。
ツイッターで、その件について呟くと、数多くの反響ととともに、「身体弱すぎ」「離島に行け」など、匿名の批判コメントも殺到。
ツイッターのアカウントは削除され、そのことが原因かどうかはわかりませんが、閉店も早まることに(12月19日閉店予定)。
よく「香害」という表現の影響から、これは香りに敏感なことで、体臭含め個人の好き嫌いや無臭化という話にすり替わってしまいますが、実際は、香りづけに使用される人工化学物質に対する体の拒絶反応であり、化学物質過敏症の一種です(体臭の話と、この「香害」の問題とは論点が違います)。
どの香りの化学物質が、どの症状に繋がっているか証明できなければ規制はできないとのことですが、無数にある化学物質が、たった一つの症状に繋がっている、という単純な構造にはなっていません。
むしろ、無数の化学物質ゆえに身体が耐えられなくなって様々な症状(症状も、アレルギーや風邪と同じように、弱っている場所やもともと弱い場所に出るのかひとやタイミングによっても違います)が生じるので、「これ(この化学物質)」が「これ(この症状)」に、という話ではないのです。
夏の地下鉄の電車の車内には、数えきれないほどの人工香料による化学物質が充満していると思います。
ちょっと苦しい、頭が痛くなる、というのも症状の一つであり、それがひとによってはもっと辛い症状となって現れる、ということも想像に難しくありません。
化学物質過敏症は、香害のように呼吸から入ってくるものに敏感なひともいれば、食事で体調が悪化するひと、皮膚が過敏なひとといます。これもアレルギーと同様です。
たとえば、この病が日本の極めて一部のひとが言っているだけなら、もしかしたら特異的に体が弱かったり、妄想のひとつだという可能性もあるかもしれませんが、実際は苦しんでいるひとが増加し、世界的にも問題となっています。
>>街にあふれる「香害」で体調不良に 「誰もに起こり得る」化学物質過敏症に注意|産経新聞
>>中3・馬場さん、テレビ電話で授業参加へ うれしい!自宅で仲間と学べる 京丹後 /京都|毎日新聞
海外でも特にアメリカでは既に3人に1人が香害に苦しんでいるという調査があります。
アメリカの成人の99.1%が、自分や他人が使った「香りつき製品」に週に1度以上さらされており、34.7%が1つ以上の香り製品によって「1つ以上の健康に有害な影響」を受けている。つまり成人の3人に1人が「香害」の被害者なのだ。
アンケートで例示された香りつき製品は、「消臭芳香スプレーや芳香・脱臭・防臭剤」「シャンプーや化粧品などのパーソナルケア製品」「清掃用製品」「柔軟剤・合成洗剤などの洗濯用製品」「家庭用製品」「香水」などだ。
また有害な健康への影響として挙げられたのは、「偏頭痛」「ぜんそく発作」「神経症状」「呼吸器症状」「皮膚症状」などの訴えだ。男女別では女性の方が有害な影響を受ける割合が高かった。
こうした問題、数々の化学物質によって体が悲鳴をあげ、体調を崩す、というのは「複合汚染」と呼ばれ、古くは作家の有吉佐和子さんが数十年前に主に『複合汚染』というノンフィクション小説で問題提起をしています。
私は、こうした物質文明の氾濫というのは、人間の知恵が生み出した科学と文明というものの、ある一つの運命的な必然であったとは思うのですけれども、しかしこれをそのままにしておくことはできないし、このままにしておいたのでは、私たちの体が、まず得体の知れない病気になる。それから、もう現在そういう病気が頻発している。
テレビで取り上げられることが少ないのは、関連するスポンサー企業の影響や、また視聴者のひとりひとりにとっても生活に直結する耳の痛い話も多く(私たちは加害者であり、被害者でもあります)、尻込みをしているのかもしれません。
特効薬というものはなく、対策としては、自然(身体含む)に優しい暮らしをしていく、ということが重要という点では、自然の保全とも共通するでしょう。


