からだと自然
脳の超回復 燃え尽き症候群予防に、大学受験・頑張らない勉強法

Glass Story
大学受験と燃え尽き症候群予防
燃え尽き症候群と呼ばれる ‘ 症状 ’ があります。
長い長い期間の継続的な集中や緊張を経て、ようやく目標を成しとげた瞬間、ぷちんと緊張の糸が切れて、全てがどうでもよくなったような、燃え尽きたような脱力感に見舞われる。
この燃え尽き症候群は、喩えるなら、右手を力強く握りしめて、ぱっと手を放した瞬間に脱力することと同じような原理で生じます。
目標を達成するために、握りこぶしのような、気張った、頑張った、緊張状態を続ける。
そして達成した瞬間 ──── ぱっと手を放した瞬間、どっと力が抜ける。
僕自身、こうした燃え尽き症候群によって、長いあいだ不登校や引きこもりに陥った体験がありました。
そのことについての詳細は省きますが、その体験と反省を踏まえて、その後大学受験に挑もうと思ったときには、まず、この燃え尽き症候群にならないような予防策を考えて計画的に勉強しよう、と心がけました。
そうした大学受験のときの体験を踏まえて、ここでは僕の考える「頑張らない勉強法」を紹介したいと思います。
情報からの休息
燃え尽き症候群対策としての「頑張らない勉強法」で、大切なキーワードが、脳の超回復、そして定期的な「インプットしない」です。
インプットしないというのは、文字通り、なるべく体内にインプットしない日や時間を作る、ということです。
たとえば、本を読まない、テレビやスマホを見ない、過食に走らない、と言ったように。
若者に人気のRADWIMPSというバンドで作詞作曲を担当する、ボーカルの野田洋次郎さんは、過去の雑誌のインタビューで、「一本のアルバムを完成させるたびに一週間入院する」と語っていました。
また、ジブリの宮崎駿監督も、映画が完成すると八ヶ岳の山小屋にこもり、多いときには半年近く、自然と触れ合う時間を過ごすと言います。
お二人に共通するのは、インプットから逃れる、ということです。
現代ほど、この「インプット」から逃れられない時代はありません(一説では、江戸時代の人間の一生分の情報を、僕たちは一日で処理しなければならないと言います)。
言語処理だけなく、消化や吸収、また食品添加物などの解毒も含めて、体は常に広い意味での「情報」に対して対応を迫られている。
そうして、その情報は、心身の絶え間ない緊張に繋がっていきます。
だからこそ、意識的に「インプットしない」時間を設ける必要があるのです。
超回復
ところで、筋肉には「超回復」という生理現象があるのをご存知でしょうか。
筋肉を鍛えるときには、まず筋肉トレーニングによって負荷をかけ、筋肉細胞を破壊します。
その筋肉細胞が、24時間から48時間をかけて自然治癒することで修復していきます。
その修復過程を経ることによって、トレーニングの前よりも太く、強くなる、というプロセスを「超回復」と言うのです。
要するに、筋肉トレーニングは、行ったあとの適度な休養(「インプットしない」)が必要になってくるのです。
毎日毎日、同じ場所ばかりに負荷をかけていたら、回復の余地が与えられず、一向に再組織化が進みません。
僕は、大学受験の際に、脳みそも似たような「超回復」理論が当てはまるのではないか、という仮説を立てました。
先ほども触れたように、高校時代、僕は引きこもりのような状態で、ほとんど学校に行くことができませんでした(途中通信制の学校に移りました)。
最初は大学を受験するつもりも毛頭ありませんでした。
その後、おせっかいな友人の後押しなどがきっかけとなって大学受験を志すことに決めました。それが受験の半年ほど前、ちょうど夏の終わりくらいのことでした。
そして、そのときに僕が心がけたのが、この燃え尽き症候群予防のための頑張らない勉強法です。
筋肉と同様、鍛えたあとはしっかりと再生のための休息をとる習慣をつくる、という「脳の超回復」という仮説でした。
具体的な方法
僕は、午前中の三時間くらいを勉強時間として活用し、昼以降はリラックスを心がけ、飼い犬とたわむれたり好きなラジオを聴いたりと、休息する、というリズムをセンター入試の直前まで守りました。
また、勉強の内容も、9月は英語、10月は政治経済といったように一ヶ月ごとに教科を絞っていきました。
とにかく、この集中(朝だけ、英語だけ、といった風に)と休養、リズムやテンポを大事にしました。
最近の流行りの言葉で言うと、「ルーティン」と言えるかもしれません。
その結果、受験勉強自体も気張ったようなこともなく、夏の終わりの段階では偏差値も40程度だったのですが、家族も驚くほどに淡々と成績は上昇し、本番直前には60を越えていました。
勉強と食事
科学的に、筋肉と同じように、脳の破壊と再生が知識に繋がっていくかどうかはわかりません。
ただ、長時間の集中が効率を悪くし、場合によっては燃え尽き症候群やうつ病に繋がっていくことは確かでしょう。
また、食事面から「超回復」を考えたとき、こうした筋肉の再生をうながすためにはプロテインを代表するようなタンパク質が効果的です。
このタンパク質が脳の活動にも良いのだと、食事療法を専門に行っている医師の方から伺ったことがあります。
これまでは、頭の活動には糖分や炭水化物が適している、という声が一般的でした。
しかし、おそらく経験があると思うのですが、糖分によって補充したエネルギーは、一時的な血糖値の上昇には繋がっても、すぐに下降し、反対に眠くなったり集中力の低下に繋がっていきます。
だから、もし食事や間食をするときには炭水化物(ご飯や粉物、麺類)ではなくタンパク質を摂るほうがよく、その医師は、鶏肉のササミやカツオ、ナッツや豆腐などの豆類を勧めていました。
個人的な体験としては、少食を心がけるといちばん頭は冴えるし、集中力は増します。
それでも、もし間食を摂りたいという場合には、消化にエネルギーを取られない豆類のような植物性のタンパク質をおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか。
燃え尽き症候群予防のための頑張らない勉強法とは、筋トレのように、脳には短時間の集中で適度な刺激を与えつつ、定期的な休養をしっかりと確保すること。
それは、目先の結果だけでなく、長期的な人生を考えたとき、きっと効果が深く深く実感できるでしょう。
アイデアのつくり方 / ジェームス W.ヤング、今井 茂雄訳
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