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なぜアメリカで抗うつ剤服用者が多いのか

Glass Story
なぜアメリカで抗うつ剤服用者が多いのか
アメリカは抗うつ剤大国として有名で、医師は気軽に抗うつ剤を処方し、患者も軽い気持ちで抗うつ剤を服用します。
アメリカの抗うつ剤服用者の人数は3000万人、10人に1人が抗うつ剤を服用し、40代、50代の女性に限れば4人に1人が服用していると言います(12歳以上の8人に1人が最近抗うつ剤を使ったという報告もあります)。
しかも、この3000万人という膨大な数の服用者の人数は、1998年の頃と比較すると4倍。アメリカで抗うつ剤服用者が増加し、一方で自殺の割合も増加しています。
アメリカでは、悲しいことに銃よりも自殺が人命を奪っており、自殺率はほぼ全州で上がっている。
「米国疾病対策センター」は、自殺による死亡者は1999年から30%増えていると報告している。同様の傾向はカナダでも見られる。
このように自殺が増えた期間に抗うつ薬の使用が65%も急増していることを知った私は心を痛めたが、驚きはしなかった。
2014年までに、12歳以上のアメリカ人の8人に1人ほどが抗うつ薬を最近使ったと報告している。
もし抗うつ剤が鬱に本当に効果的なら、なぜ次々に治っていかないのでしょうか。なぜ抗うつ剤の服用者が増加するのでしょうか。
そもそも、なぜアメリカでこれほど抗うつ剤の服用者が多いのか、まるで「キャンディのように」日常的に使用する、と指摘する日経ビジネスの記事を参考に、その理由について解説したいと思います。
一つ目の理由は、精神科医だけでなく内科医やファミリードクターも安易に抗うつ剤を処方することです。
誰でも大切なひとや愛犬が亡くなったときに心が沈んだり不安定になることは自然なことですが、その不安や悲しみを医師に相談すると専門の精神科医でなくても抗うつ剤を処方します。
ある患者は、両親の他界と愛犬の死のショックで塞ぎ込み、処方された複数の抗うつ剤を服用した結果、自殺願望が高まり、二年間で四度の自殺未遂を繰り返しました。
アメリカ人の多くが抗うつ剤を多用している様子は、ジュード・ロウ主演の映画『サイドエフェクト』にも描かれています。「サイドエフェクト」とは副作用という意味で、この映画は「抗うつ剤の副作用」が鍵となるサスペンスです。
この『サイドエフェクト』のなかで、SSRIという抗うつ剤の種類について、「“悲しい”という情報を遮断する薬」という説明がされるシーンがあります。
画像 : 『サイドエフェクト』
この映画を見ると、アメリカでどれだけ気軽に抗うつ剤が処方されるか(劇中では、「イギリスでは精神疾患は病気だとされるが、アメリカだと応援される」という台詞も出てきます)、ということが分かります。
二つ目の理由は、製薬会社と医師の密接な関係性や製薬会社による広告戦略です。
抗うつ剤が多用されている別の理由がある。経済的理由だ。抗うつ剤市場は現在、米国だけで年間50億ドル(約6000億円)規模と言われている。製薬会社と病院・医師との「良好な関係」から、抗うつ剤がより容易に処方されやすい環境ができている。
科学ジャーナリストのマイク・バレット氏は「製薬会社と病院が密接な関係を築いているのは疑いようのない事実です。うつ症状を緩和するには自然療法の選択肢もあります。しかし、医師はすぐに抗うつ剤を処方してしまう流れができています」と指摘する。製薬会社と医師との間に依存体質が出来上がっている。
製薬会社が抗うつ剤を売り込む相手は病院や医師だけではない。米テレビでは抗うつ剤の広告を流している。日本では頭痛薬や胃腸薬の広告は頻繁に見かけるが、抗うつ剤についてはあまり見聞きしない。
米国で製薬会社が抗うつ剤のテレビ広告を打つようになった背景として、抗うつ剤を生活の中に浸透させる狙いがあったと考えるのが自然だろう。抗うつ剤の日常化である。
日本でも「うつは心の風邪」といったキャッチコピーや、「クリニック」の名称で気軽に病院に行くように促され、抗うつ剤の服用が簡単に行われるようになりつつあります。
アメリカと同じ道を辿っていると言ってよいでしょう。
>>“薬漬け”になりたくない~向精神薬をのむ子ども~ NHK クローズアップ現代
また、アメリカでは抗うつ剤を多くのひとが使用している影響により、服用者の尿から下水を通じ、川に流れた抗うつ剤の成分が、魚の脳や体内から発見されています。
ただちに人間にどのような影響が生じるかは分かりませんが、ある研究によれば、川に流れた抗うつ剤の成分の影響によってエビが彼らにとって「自殺行動」とも思える異常な行動(本来は捕食者に見つかる可能性があるため光から離れるはずが、逆に光の方向に向かっていく)を取るようになったとのこと。
魚が抗うつ薬の処方を受けることなどあり得ない。だが、五大湖のエリー湖からオンタリオ湖へ流れるナイアガラ川で釣り上げられた魚の脳などに、抗うつ薬の成分とそれらの代謝物が高濃度で含まれていたことが分かった。
学術誌「エンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー」に8月16日に発表された研究結果によると、魚は文字通り、ゾロフト(Zoloft)やプロザック(Prozac)、セレクサ(Celexa)、サラフェム(Sarafem)といった多数の抗うつ薬が溶け込んだ水の中を泳いでいると見られる。
抗うつ剤で、一時的に「悲しい」という情報を強制的に遮断し、明るくなったように見せることはできるかもしれません。しかし、それが長期的に、あるいは複合的に使用したときに、どんな悪影響を与えるか誰も知りません。
うつという状態や、その他精神疾患的な症状の存在や苦しみを否定はするわけではありません。
ただ、誰もが追い詰められる「社会」が問題であり、その「社会」を治療するなら分かりますが、そうではなく「個人」のほうが病んでいる、壊れていると診断され、薬で「治す、直す」という方向に向かうことにこそ「過ち」の本質があるのではないでしょうか。
この『スエロは洞窟で暮らすことにした』という一人のアメリカ人を追ったノンフィクション小説のなかでも、抗うつ剤の服用者が多いアメリカについて触れられ、またスエロ自身が断薬を決断するシーンも登場します。
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